公正な税制を求める市民連絡会

広がる貧困と格差の是正に向けて

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私たちは、社会保障の充実を目指し、不公正税制の是正、所得再配分の強化、税制の透明化に向けた取り組みを進めるため、市民連絡会を設立し、この問題に関心のある多くの市民、団体の方々に参加を呼びかけています。

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アップルの空飛ぶ魔術―失われた2000億円余の税収・連載第5回「ふたたび旅へ」

第5回 ふたたび旅へ

アイフォーンなどアップル製品は実際には中国で製造され、組み立てられ、直接、消費国に配送されます。しかし帳簿上では余計な回り道をして、はるか離れたアイルランドの子会社(ASI)が完成品の最初の購入者となります。ASIは購入した製品を各国の消費者向けに再販売することになります。

ヨーロッパ、アフリカ、インドなどに対してはもう一つのアイルランド子会社ADIを通じて、日本を含むアジア向けはシンガポール子会社を通じて消費者の手に届けられます。カリフォルニアから始まったアップルの旅は、アイルランドで一息つく暇もなく、ヨーロッパ諸国、アフリカ諸国へと、あるいはユーラシア大陸を超えてアジアへと、はるかな旅にふたたび飛び立つのです。

しかしこの旅は最初のアイルランドへの旅と同じく、普通の旅ではありません。アイルランド子会社もシンガポール子会社など消費国に届くまでの中継子会社も、すべて多国籍企業アップルのグループ内の子会社です。グループ内の子会社どうしの取引は、貿易という形をとっていても、その取引は同一会社内の内部取引なので、その価格を自由に決めることができます。

アイルランド子会社ASIは、中国で生産された製品を安く購入する一方、消費国には高い価格で販売することによって、利益の大半を手元に集中していたのです。これが移転価格による利益の移転です。こうしてヨーロッパ諸国や日本などで生じた販売利益を、アイルランド子会社に集中することができたのです。これが魔法の第3です。

それだけではありません。アイルランドのアップル子会社は、どの国にも居住しない法人になりすますことによって、どの国からも課税されない「無国籍法人」と化しました。

法人に対する課税方式として、法人が設立された国が課税するという考え方(本店所在地主義)と、法人を管理・支配している国が課税するという考え方(管理支配地主義)とがあります。アメリカや日本は前者の考え方をとっていますが、アイルランドは後者の考え方をとっています。

AOI、AOE、ASIなどのアップル社のアイルランドにある子会社は、アイルランドで設立されていますが、同国での管理・運営の実態はありません。例えばAOIには三人の取締役がいますが、そのうち二人はカリフォルニアに居住しており、取締役会はほとんどカリフォルニアの本社で開かれています。ASIの取締役会も同様にカリフォルニアで行われています。

これらの事実はアイルランドの子会社に対する管理・支配はアメリカで行われていることを意味しています。したがってアイルランドでは課税されることはありません。他方これらのアイルランド子会社は、アメリカで設立された会社ではないので、アメリカでも課税することができません。結局、アイルランドにあるアップル子会社は、税の上ではどこの国にも居住しない「国籍なき企業」として扱われ、どこの国の課税権も及ばないことになっているのです。これが魔法の第4です。

(公正な税制を求める市民連絡会幹事・合田寛)

設立2周年記念集会 誰もが支えあう税制へ ~格差社会を乗り越えるために~

(チラシデータ:PDFファイル 1.03MB)

公正な税制を求める市民連絡会を結成して2周年を迎えます。

経済格差は教育、医療、年金、介護の格差を生み、「貧困のサイクル」と「富裕のサイクル」というふたつの異なる人生の道筋を作り出します。

生まれたときの家庭の所得という運だけで人生の大部分が決まっていいのでしょうか。

「特定の誰かの利益」から「人間の利益」への価値の転換し、所得や年齢等の制限によって受益者を「選別」する社会ではなく、人間の生活にとって必要なものをすべての人びとに「普遍」的に提供する社会への転換が求められています。

本集会では、税の普遍主義を提言してきた井手英策さんの講演をもとに、格差社会を乗り越えるヒントを見つける機会にしたいと思います。多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

日時 5月28日(日)13:15から(13:00受付開始)

資料代:1000円
*お支払いが難しい方は入場時にお声をおかけください。無料で資料をお渡しします。

会場 日司連会館地下ホール
東京都新宿区本塩町9番地3 TEL: 03-3359-4171
JR中央線、総武線四ツ谷駅徒歩5分、東京メトロ 丸の内線・南北線 四ツ谷駅徒歩6分

共催 公正な税制を求める市民連絡会、全国青年司法書士協議会

★事前申し込み不要

プログラム

13:15 総会

13:30 設立2周年記念集会

(1)   記念講演「誰もが支えあう税制とは」~普遍主義の実現に向けて~

  • 講師 井手英策 氏(慶応大学教授)

(2)   パネルディスカッション 徹底討論「普遍主義は本当に実現可能か?」

パネラー

  • 井手英策 氏(慶応大学教授)
  • 稲葉 剛 氏(一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事)
  • 宇都宮健児 氏(弁護士・公正な税制を求める市民連絡会共同代表)
  • 赤石千衣子 氏(しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長)

コーディネーター

  • 猪股 正 氏(弁護士・公正な税制を求める市民連絡会事務局長)

16:50 終了

連絡先 埼玉総合法律事務所 弁護士猪股正 TEL045-862-0355 FAX048-866-0425

ニュースレター Vol.8:ともに怒り、学び、求めよう


公正な税制を求める市民連絡会の会報の第8号(2017.4月号)です。
下記リンクをクリックするとPDFデータがダウンロードできます。ぜひご覧ください。

<内容>

  • ともに怒り、学び、求めよう
  • 誰もが抱える基礎的なニーズは税で満たせ-「社会保険主義」の罪-
  • 書籍紹介
  • やさしい税金Q&A:法人税について、私たち市民が知っておきたいことは?
  • 会員のひろば
  • 活動報告、開催予告

アップルの空飛ぶ魔術―失われた2000億円余の税収・連載第4回「『消された』子会社」

第4回 「消された」子会社

知的財産権をアイルランド子会社に移転し、そこに利益を集中したとしても、それだけではアメリカ政府の課税から逃れることはできません。

アメリカにはタックスヘイブン子会社への利益移転による課税逃れを規制するために、タックスヘイブン対策税制があります。一定の所得について、タックスヘイブン子会社に留保しても、本社に配当されたとみなして、本社の利益と合算してアメリカの税率で課税するというルールです。

前回述べたようにアップル社はアメリカ以外の国で得た利益を、アイルランド・セールス・インターナショナル(ASI)に集中しますが、ASIに集められた利益は、親会社のAOEを通じて、さらにその親会社のアップル・オペレーションズ・インターナショナル(AOI)に配当として集中します。

AOIはアップル社の海外子会社のほとんどを直接・間接に保有する持ち株会社で、ASIと同じく従業員ゼロのペーパーカンパニーです。重要事項はアメリカの本社の取締役会で決められるなど、本社の管理・支配下に置かれています。 したがって本来ならば、AOIに集中された利益は、タックスヘイブン対策税制によって、本社の利益に合算されて課税されることになります。

しかしここに登場するのが第2の魔法です。アメリカにはチェック・ザ・ボックス規制というルールがあり、申告の際に、ある子会社を課税対象である法人にするか、それとも他の法人の支店にするかの選択を認めています。支店にすることを選択すれば、その子会社間の取引は会社の内部取引とみなされ、取引がなかったものとみなされるのです。

アップル社はAOIの傘下のすべての子会社を、AOIの支店として扱うことを選択しており、その結果アメリカの課税当局からみれば、これらの子会社は存在しないことになり、子会社間の取引も消失してしまうのです。透明人間ならぬ透明企業になるのです。

チェック・ザ・ボックス規制はアメリカのタックスヘイブン対策税制の抜け穴であり、これを利用することによって、アップル社は本来なら本社の利益と合算して課税されるべきタックスヘイブン子会社の利益を、本社から見えなくし、課税を逃れているのです。

(公正な税制を求める市民連絡会幹事・合田寛)

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