公正な税制を求める市民連絡会

広がる貧困と格差の是正に向けて

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私たちは、社会保障の充実を目指し、不公正税制の是正、所得再配分の強化、税制の透明化に向けた取り組みを進めるため、市民連絡会を設立し、この問題に関心のある多くの市民、団体の方々に参加を呼びかけています。

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アップルの空飛ぶ魔術―失われた2000億円余の税収・連載第6回「魔法で消えた1兆円」

第6回 魔法で消えた1兆円

アップル社が使った魔法の数々は同社が当然負担すべき税を大きく軽減することに貢献しました。第1の魔法によって南北アメリカ大陸を除く諸外国で得た利益はアイルランドに移転され、ほとんど無税となりました。

その仕組みによって最も影響を受けたのはアメリカ以外の諸国の税収です。アメリカ上院の調査によると、例えば2011年に、アメリカはアップルの全世界の課税前利益の30%を得、残りの70%はアメリカ以外の諸国が得ています。その内訳はアイルランド64%、その他諸国6%となっています。一方アップル製品の消費者の分布をみると、アメリカ39%に対してその他諸国が61%を占めていますが、その内訳はアイルランド1%、その他諸国60%となっています。

つまりアイルランドには消費者が1%しかいないのに、全世界の利益の64%が集中しているのです。逆に言えばその他諸国には消費者が60%もいるのに、利益は6%しか配分されていないのです。このギャップはアメリカ以外の大半の諸国で生まれた巨額の利益の大半が、アイルランドに移転させられたことを物語っています。その結果、アメリカ以外の諸国(日本を含む)では、当然得られるべき巨額の税収を奪われているのです。

例えば直近(2016年)の年次報告書で見ると、アップルのアメリカ以外の課税前利益は411億㌦(約4.5兆円)ですが、同地域での納税額はわずか21.4億㌦(約2350億円)です。その負担率はわずか5.8%という低さです。最近10年間(2007年~2016年)をとると、税引き前利益の合計2367億㌦(約26兆円)に対して、納税額は95.4億㌦(約1兆円)で、負担率は年平均でわずか4%と、無税に近い負担率です。

このアップル社の世界的税逃れ戦略は、アメリカ以外で生じた利益をアイルランドに集中し無税化するもので、もちろん日本も例外ではありません。日本から奪われた税収は、このシリーズの第1回で述べたように、2016年だけで2300億円前後に上ります。最近5年間(2012年~2016年)をとると、失われた税収は1兆円を上回る計算になります。1社だけによる税収ロスとしては無視できる大きさではありません。

アップルの空飛ぶ魔術―失われた2000億円余の税収・連載第5回「ふたたび旅へ」

第5回 ふたたび旅へ

アイフォーンなどアップル製品は実際には中国で製造され、組み立てられ、直接、消費国に配送されます。しかし帳簿上では余計な回り道をして、はるか離れたアイルランドの子会社(ASI)が完成品の最初の購入者となります。ASIは購入した製品を各国の消費者向けに再販売することになります。

ヨーロッパ、アフリカ、インドなどに対してはもう一つのアイルランド子会社ADIを通じて、日本を含むアジア向けはシンガポール子会社を通じて消費者の手に届けられます。カリフォルニアから始まったアップルの旅は、アイルランドで一息つく暇もなく、ヨーロッパ諸国、アフリカ諸国へと、あるいはユーラシア大陸を超えてアジアへと、はるかな旅にふたたび飛び立つのです。

しかしこの旅は最初のアイルランドへの旅と同じく、普通の旅ではありません。アイルランド子会社もシンガポール子会社など消費国に届くまでの中継子会社も、すべて多国籍企業アップルのグループ内の子会社です。グループ内の子会社どうしの取引は、貿易という形をとっていても、その取引は同一会社内の内部取引なので、その価格を自由に決めることができます。

アイルランド子会社ASIは、中国で生産された製品を安く購入する一方、消費国には高い価格で販売することによって、利益の大半を手元に集中していたのです。これが移転価格による利益の移転です。こうしてヨーロッパ諸国や日本などで生じた販売利益を、アイルランド子会社に集中することができたのです。これが魔法の第3です。

それだけではありません。アイルランドのアップル子会社は、どの国にも居住しない法人になりすますことによって、どの国からも課税されない「無国籍法人」と化しました。

法人に対する課税方式として、法人が設立された国が課税するという考え方(本店所在地主義)と、法人を管理・支配している国が課税するという考え方(管理支配地主義)とがあります。アメリカや日本は前者の考え方をとっていますが、アイルランドは後者の考え方をとっています。

AOI、AOE、ASIなどのアップル社のアイルランドにある子会社は、アイルランドで設立されていますが、同国での管理・運営の実態はありません。例えばAOIには三人の取締役がいますが、そのうち二人はカリフォルニアに居住しており、取締役会はほとんどカリフォルニアの本社で開かれています。ASIの取締役会も同様にカリフォルニアで行われています。

これらの事実はアイルランドの子会社に対する管理・支配はアメリカで行われていることを意味しています。したがってアイルランドでは課税されることはありません。他方これらのアイルランド子会社は、アメリカで設立された会社ではないので、アメリカでも課税することができません。結局、アイルランドにあるアップル子会社は、税の上ではどこの国にも居住しない「国籍なき企業」として扱われ、どこの国の課税権も及ばないことになっているのです。これが魔法の第4です。

(公正な税制を求める市民連絡会幹事・合田寛)

設立2周年記念集会 誰もが支えあう税制へ ~格差社会を乗り越えるために~

(チラシデータ:PDFファイル 1.03MB)

公正な税制を求める市民連絡会を結成して2周年を迎えます。

経済格差は教育、医療、年金、介護の格差を生み、「貧困のサイクル」と「富裕のサイクル」というふたつの異なる人生の道筋を作り出します。

生まれたときの家庭の所得という運だけで人生の大部分が決まっていいのでしょうか。

「特定の誰かの利益」から「人間の利益」への価値の転換し、所得や年齢等の制限によって受益者を「選別」する社会ではなく、人間の生活にとって必要なものをすべての人びとに「普遍」的に提供する社会への転換が求められています。

本集会では、税の普遍主義を提言してきた井手英策さんの講演をもとに、格差社会を乗り越えるヒントを見つける機会にしたいと思います。多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

日時 5月28日(日)13:15から(13:00受付開始)

資料代:1000円
*お支払いが難しい方は入場時にお声をおかけください。無料で資料をお渡しします。

会場 日司連会館地下ホール
東京都新宿区本塩町9番地3 TEL: 03-3359-4171
JR中央線、総武線四ツ谷駅徒歩5分、東京メトロ 丸の内線・南北線 四ツ谷駅徒歩6分

共催 公正な税制を求める市民連絡会、全国青年司法書士協議会

★事前申し込み不要

プログラム

13:15 総会

13:30 設立2周年記念集会

(1)   記念講演「誰もが支えあう税制とは」~普遍主義の実現に向けて~

  • 講師 井手英策 氏(慶応大学教授)

(2)   パネルディスカッション 徹底討論「普遍主義は本当に実現可能か?」

パネラー

  • 井手英策 氏(慶応大学教授)
  • 稲葉 剛 氏(一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事)
  • 宇都宮健児 氏(弁護士・公正な税制を求める市民連絡会共同代表)
  • 赤石千衣子 氏(しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長)

コーディネーター

  • 猪股 正 氏(弁護士・公正な税制を求める市民連絡会事務局長)

16:50 終了

連絡先 埼玉総合法律事務所 弁護士猪股正 TEL045-862-0355 FAX048-866-0425

ニュースレター Vol.8:ともに怒り、学び、求めよう


公正な税制を求める市民連絡会の会報の第8号(2017.4月号)です。
下記リンクをクリックするとPDFデータがダウンロードできます。ぜひご覧ください。

<内容>

  • ともに怒り、学び、求めよう
  • 誰もが抱える基礎的なニーズは税で満たせ-「社会保険主義」の罪-
  • 書籍紹介
  • やさしい税金Q&A:法人税について、私たち市民が知っておきたいことは?
  • 会員のひろば
  • 活動報告、開催予告

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