公正な税制を求める市民連絡会・設立趣意書

貧困と格差が拡大しています。

ところが、政府は、「財政危機」の名の下に、社会保障費を聖域なく見直すとし、生活保護基準や年金の引き下げを始め、子育て、教育、医療、介護、住宅等、様々な分野で、社会保障の削減を進めており、このままでは、日本社会の危機は深刻化するばかりです。

確かに、租税制度は、特に1990年代以降、租税調達能力が弱まり、必要な財政需要を確保できなくなっています。しかし、その主要な要因は、高額所得者と大企業を優遇する度重なる減税政策により、所得税及び法人税を基幹税とする租税制度が弱体化したことにあります。そして、減税による税収減を消費税の導入によって補ったため、租税負担が、豊かな階層から貧しい階層へシフトし、また、所得税及び法人税の負担構造も、所得税の負担率が所得1億円をピークに低下し、巨大企業の実質的な法人税負担率が中小企業より低くなるなど、不公正な事態が招来され、このような不公正な税制のあり方が、貧困と格差を拡大・固定化する要因となっています。

財政は、本来、人の生存を可能にし、その尊厳を守るためにこそ存在するものです(憲法第13条、第14条、第25条、第29条)。貧困と格差の拡大を是正するため、このような不公正な税制を見直し、必要な税収を確保しつつ、社会保障制度を充実させなければなりません(税と社会保障制度による所得再分配の強化)。

また、租税法律主義及び財政民主主義の下、税制のあり方や税の使途は、国民の不断の監視の下に置かれなければなりません。国民が税に関する正確な情報にアクセスでき、税制のあり方や使途の決定に実質的に参画できるシステムが構築されなければなりません。

私たちは、今般、社会保障の充実を目指し、不公正税制の是正、所得再分配の強化、税制の透明化等に向けた取り組みを進めるため、市民連絡会を設立し、この問題に関心のある多くの市民・団体の方々に、参加を呼びかけます。

2015年5月16日