公正な税制を求める市民連絡会

広がる貧困と格差の是正に向けて

ブログ

2017/8/1(火)税金カフェのご案内

ご案内チラシ(PDF484KB)のダウンロードはこちらをクリック!

「税金ってなんだかムズカシそう・・・」「税金のことなんて知らなくてもいい?」――
いえいえ、税金は、憲法と同じように、わたしたちの生活に密接にかかわっています。
「税について考えること」は、「わたしたちの暮らしを考えること」なのです。

「一人ひとりのかけがえのない命と暮らしを守るためには?」「公平な税、公正な税とは?」――
お茶を飲みながら、作家の雨宮処凛さん&税理士の内田麻由子さんと、楽しく社会と税金について学び、語り合いましょう。グループディスカッションもあります。

おいしいお食事もありますので、ぜひお早めにご来場の上、ご注文ください(お食事は別会計です)。


【開催要項】
◆日 時:2017年8月1日(火) 18:30~20:40 (開場 17:30)

◆第1部 「命と暮らしを考える」
講 師:雨宮 処凛(あまみや・かりん)氏
作家。公正な税制を求める市民連絡会 共同代表
著書に『自己責任社会の歩き方』『一億総貧困時代』他多数
公式サイト http://amamiyakarin.com/

◆第2部 「公平な税金の集め方をみんなで考えてみよう」
講 師:内田 麻由子 氏
税理士。公正な税制を求める市民連絡会 税金カフェ担当
著書に『誰も教えてくれなかった「ふつうのお宅」の相続対策ABC』他多数

◆会 場:キイトス茶房
東京都新宿区箪笥町 25 野吾ビル2F
TEL 03-5206-6657
大江戸線「牛込神楽坂」A1出口徒歩1分
東西線「神楽坂」2番出口徒歩5分
http://kiitosryo.blog46.fc2.com/

20161121map

◆料 金:1500円(ワンドリンク付)(当日会場にて)
◆定 員:30名
◆主 催:公正な税制を求める市民連絡会

【お申し込み】

フェイスブックのイベントページ、E メール、お電話でどうぞ。

(キャンセルの場合は、お早めにご連絡いただけると助かります)
☆FB:http://www.facebook.com/tax.justice.jp/(公正な税制を求める市民連絡会)イベントに「参加」でOK!

☆E メール info◎n-sk.org(内田:◎部分を@に置き換えてご送付ください。迷惑メール対策のためご協力のほどお願いいたします。)

☆お電話 03-6454-1567(内田麻由子会計事務所)

アップルの空飛ぶ魔術―失われた2000億円余の税収・連載第6回「魔法で消えた1兆円」

第6回 魔法で消えた1兆円

アップル社が使った魔法の数々は同社が当然負担すべき税を大きく軽減することに貢献しました。第1の魔法によって南北アメリカ大陸を除く諸外国で得た利益はアイルランドに移転され、ほとんど無税となりました。

その仕組みによって最も影響を受けたのはアメリカ以外の諸国の税収です。アメリカ上院の調査によると、例えば2011年に、アメリカはアップルの全世界の課税前利益の30%を得、残りの70%はアメリカ以外の諸国が得ています。その内訳はアイルランド64%、その他諸国6%となっています。一方アップル製品の消費者の分布をみると、アメリカ39%に対してその他諸国が61%を占めていますが、その内訳はアイルランド1%、その他諸国60%となっています。

つまりアイルランドには消費者が1%しかいないのに、全世界の利益の64%が集中しているのです。逆に言えばその他諸国には消費者が60%もいるのに、利益は6%しか配分されていないのです。このギャップはアメリカ以外の大半の諸国で生まれた巨額の利益の大半が、アイルランドに移転させられたことを物語っています。その結果、アメリカ以外の諸国(日本を含む)では、当然得られるべき巨額の税収を奪われているのです。

例えば直近(2016年)の年次報告書で見ると、アップルのアメリカ以外の課税前利益は411億㌦(約4.5兆円)ですが、同地域での納税額はわずか21.4億㌦(約2350億円)です。その負担率はわずか5.8%という低さです。最近10年間(2007年~2016年)をとると、税引き前利益の合計2367億㌦(約26兆円)に対して、納税額は95.4億㌦(約1兆円)で、負担率は年平均でわずか4%と、無税に近い負担率です。

このアップル社の世界的税逃れ戦略は、アメリカ以外で生じた利益をアイルランドに集中し無税化するもので、もちろん日本も例外ではありません。日本から奪われた税収は、このシリーズの第1回で述べたように、2016年だけで2300億円前後に上ります。最近5年間(2012年~2016年)をとると、失われた税収は1兆円を上回る計算になります。1社だけによる税収ロスとしては無視できる大きさではありません。

アップルの空飛ぶ魔術―失われた2000億円余の税収・連載第5回「ふたたび旅へ」

第5回 ふたたび旅へ

アイフォーンなどアップル製品は実際には中国で製造され、組み立てられ、直接、消費国に配送されます。しかし帳簿上では余計な回り道をして、はるか離れたアイルランドの子会社(ASI)が完成品の最初の購入者となります。ASIは購入した製品を各国の消費者向けに再販売することになります。

ヨーロッパ、アフリカ、インドなどに対してはもう一つのアイルランド子会社ADIを通じて、日本を含むアジア向けはシンガポール子会社を通じて消費者の手に届けられます。カリフォルニアから始まったアップルの旅は、アイルランドで一息つく暇もなく、ヨーロッパ諸国、アフリカ諸国へと、あるいはユーラシア大陸を超えてアジアへと、はるかな旅にふたたび飛び立つのです。

しかしこの旅は最初のアイルランドへの旅と同じく、普通の旅ではありません。アイルランド子会社もシンガポール子会社など消費国に届くまでの中継子会社も、すべて多国籍企業アップルのグループ内の子会社です。グループ内の子会社どうしの取引は、貿易という形をとっていても、その取引は同一会社内の内部取引なので、その価格を自由に決めることができます。

アイルランド子会社ASIは、中国で生産された製品を安く購入する一方、消費国には高い価格で販売することによって、利益の大半を手元に集中していたのです。これが移転価格による利益の移転です。こうしてヨーロッパ諸国や日本などで生じた販売利益を、アイルランド子会社に集中することができたのです。これが魔法の第3です。

それだけではありません。アイルランドのアップル子会社は、どの国にも居住しない法人になりすますことによって、どの国からも課税されない「無国籍法人」と化しました。

法人に対する課税方式として、法人が設立された国が課税するという考え方(本店所在地主義)と、法人を管理・支配している国が課税するという考え方(管理支配地主義)とがあります。アメリカや日本は前者の考え方をとっていますが、アイルランドは後者の考え方をとっています。

AOI、AOE、ASIなどのアップル社のアイルランドにある子会社は、アイルランドで設立されていますが、同国での管理・運営の実態はありません。例えばAOIには三人の取締役がいますが、そのうち二人はカリフォルニアに居住しており、取締役会はほとんどカリフォルニアの本社で開かれています。ASIの取締役会も同様にカリフォルニアで行われています。

これらの事実はアイルランドの子会社に対する管理・支配はアメリカで行われていることを意味しています。したがってアイルランドでは課税されることはありません。他方これらのアイルランド子会社は、アメリカで設立された会社ではないので、アメリカでも課税することができません。結局、アイルランドにあるアップル子会社は、税の上ではどこの国にも居住しない「国籍なき企業」として扱われ、どこの国の課税権も及ばないことになっているのです。これが魔法の第4です。

(公正な税制を求める市民連絡会幹事・合田寛)

設立2周年記念集会 誰もが支えあう税制へ ~格差社会を乗り越えるために~

(チラシデータ:PDFファイル 1.03MB)

公正な税制を求める市民連絡会を結成して2周年を迎えます。

経済格差は教育、医療、年金、介護の格差を生み、「貧困のサイクル」と「富裕のサイクル」というふたつの異なる人生の道筋を作り出します。

生まれたときの家庭の所得という運だけで人生の大部分が決まっていいのでしょうか。

「特定の誰かの利益」から「人間の利益」への価値の転換し、所得や年齢等の制限によって受益者を「選別」する社会ではなく、人間の生活にとって必要なものをすべての人びとに「普遍」的に提供する社会への転換が求められています。

本集会では、税の普遍主義を提言してきた井手英策さんの講演をもとに、格差社会を乗り越えるヒントを見つける機会にしたいと思います。多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

日時 5月28日(日)13:15から(13:00受付開始)

資料代:1000円
*お支払いが難しい方は入場時にお声をおかけください。無料で資料をお渡しします。

会場 日司連会館地下ホール
東京都新宿区本塩町9番地3 TEL: 03-3359-4171
JR中央線、総武線四ツ谷駅徒歩5分、東京メトロ 丸の内線・南北線 四ツ谷駅徒歩6分

共催 公正な税制を求める市民連絡会、全国青年司法書士協議会

★事前申し込み不要

プログラム

13:15 総会

13:30 設立2周年記念集会

(1)   記念講演「誰もが支えあう税制とは」~普遍主義の実現に向けて~

  • 講師 井手英策 氏(慶応大学教授)

(2)   パネルディスカッション 徹底討論「普遍主義は本当に実現可能か?」

パネラー

  • 井手英策 氏(慶応大学教授)
  • 稲葉 剛 氏(一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事)
  • 宇都宮健児 氏(弁護士・公正な税制を求める市民連絡会共同代表)
  • 赤石千衣子 氏(しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長)

コーディネーター

  • 猪股 正 氏(弁護士・公正な税制を求める市民連絡会事務局長)

16:50 終了

連絡先 埼玉総合法律事務所 弁護士猪股正 TEL045-862-0355 FAX048-866-0425

ニュースレター Vol.8:ともに怒り、学び、求めよう


公正な税制を求める市民連絡会の会報の第8号(2017.4月号)です。
下記リンクをクリックするとPDFデータがダウンロードできます。ぜひご覧ください。

<内容>

  • ともに怒り、学び、求めよう
  • 誰もが抱える基礎的なニーズは税で満たせ-「社会保険主義」の罪-
  • 書籍紹介
  • やさしい税金Q&A:法人税について、私たち市民が知っておきたいことは?
  • 会員のひろば
  • 活動報告、開催予告

アップルの空飛ぶ魔術―失われた2000億円余の税収・連載第4回「『消された』子会社」

第4回 「消された」子会社

知的財産権をアイルランド子会社に移転し、そこに利益を集中したとしても、それだけではアメリカ政府の課税から逃れることはできません。

アメリカにはタックスヘイブン子会社への利益移転による課税逃れを規制するために、タックスヘイブン対策税制があります。一定の所得について、タックスヘイブン子会社に留保しても、本社に配当されたとみなして、本社の利益と合算してアメリカの税率で課税するというルールです。

前回述べたようにアップル社はアメリカ以外の国で得た利益を、アイルランド・セールス・インターナショナル(ASI)に集中しますが、ASIに集められた利益は、親会社のAOEを通じて、さらにその親会社のアップル・オペレーションズ・インターナショナル(AOI)に配当として集中します。

AOIはアップル社の海外子会社のほとんどを直接・間接に保有する持ち株会社で、ASIと同じく従業員ゼロのペーパーカンパニーです。重要事項はアメリカの本社の取締役会で決められるなど、本社の管理・支配下に置かれています。 したがって本来ならば、AOIに集中された利益は、タックスヘイブン対策税制によって、本社の利益に合算されて課税されることになります。

しかしここに登場するのが第2の魔法です。アメリカにはチェック・ザ・ボックス規制というルールがあり、申告の際に、ある子会社を課税対象である法人にするか、それとも他の法人の支店にするかの選択を認めています。支店にすることを選択すれば、その子会社間の取引は会社の内部取引とみなされ、取引がなかったものとみなされるのです。

アップル社はAOIの傘下のすべての子会社を、AOIの支店として扱うことを選択しており、その結果アメリカの課税当局からみれば、これらの子会社は存在しないことになり、子会社間の取引も消失してしまうのです。透明人間ならぬ透明企業になるのです。

チェック・ザ・ボックス規制はアメリカのタックスヘイブン対策税制の抜け穴であり、これを利用することによって、アップル社は本来なら本社の利益と合算して課税されるべきタックスヘイブン子会社の利益を、本社から見えなくし、課税を逃れているのです。

(公正な税制を求める市民連絡会幹事・合田寛)

アップルの空飛ぶ魔術―失われた2000億円余の税収・連載第3回「遥かなる旅へ」

第3回 遥かなる旅へ

アップルにとってはまず、本社のあるアメリカの高税率をいかにして避けるかが最大の課題となります。そのためにとられた方法が知的財産権(IP)の低税率国への移転です。

アイフォーンなどアップル製品の主たる価値は、その素材となっているアルミや鉄などの金属にあるのではなく、それを作り出すもととなったアイデァや設計などにあり、それらは主としてアメリカの本社(アップル・インク)が開発したものであり、知的財産権として所有されています。しかしその知的財産権を海外のオフショア子会社に移転すれば、それに結び付いた利益も移転することができます。

アップル社は本社で開発した知的財産権の一部を、アイルランド子会社(アイルランド・セールス・インターナショナル:ASI、およびその親会社アイルランド・オペレーションズ・ユアロップ:AOE)に移転したのです。本社のあるカリフォルニアから、アメリカ大陸を横断し、大西洋を越えるはるかなる旅の始まりです。

知的財産権の移転の方法にはいくつかの方法がありますが、アップル社は「コスト・シェアリング契約」によって行いました。コスト・シェアリング契約というのは、複数の当事者の間で研究開発費をあらかじめ分担しておき、その負担に応じてそこから生じた利益を分け合う契約のことです。

アップルの本社とASI、AOEの間のコスト・シェアリング契約の中心的内容は、アメリカの本社は知的財産の法的権利および南北アメリカでの販売権を持ち、アイルランド子会社(ASI)はそれ以外の国での販売権をもつというものです。

この契約によって、高税率のアメリカで課税される対象を、南北アメリカにおける販売収益に限定するともに、南北アメリカ以外から得られた販売収益を、低税率のアイルランド子会社(ASI)に集中することができたのです。これが魔法の第1です。

(公正な税制を求める市民連絡会幹事・合田寛)

アップルの空飛ぶ魔術―失われた2000億円余の税収・連載第2回「4つの魔法」

第2回 4つの魔法

アップルが税逃れ戦略で使っている魔法は、2013年のアメリカ上院の公聴会で、初めて詳細に解明されました。公聴会ではカール・レビン委員長を始め何人かの証人から、アップルの税逃れ戦略について、マジック(魔法)、ギミック(いかさま)などと、強い批判の言葉が飛びかいました。公聴会で明らかとなった驚くべきその魔法の正体は、大きく分けると次の4つの柱からなります。

  1.  アイフォーンなどアップル製品の製造販売にかかわる知的財産権をアメリカの本社からアイルランドのペーパーカンパニー子会社に移し、それによって大半の利益を実体のないアイルランド子会社に移したこと。
  2.  海外子会社の利益を本社の利益に合算するアメリカのタックスヘイブン対策税制を逃れるために、アイルランドに存在する子会社を、存在しないものとして扱うアメリカ税法のルールを使ったこと。
  3.  アイルランド子会社が中国で生産された製品を低価格で購入し、それを消費国に高価格で販売するいわゆる「移転価格」の方法によって、アイルランド子会社に利益を集中したこと。
  4.  アイルランド子会社はアイルランドで設立されているけれど、その管理・支配はアメリカの本社で行っており、アイルランド税法によって課税されない。一方アメリカの税法は会社の設立地がアメリカ以外であれば課税対象としない。この「居住地認定」の違いを利用して、世界のどの国からも課税されない「国籍なき企業」となったこと。

これらの4つの魔法を組み合わせることによって、アメリカ以外の国での販売収益をすべてアイルランド子会社に集中した上で、アイルランドからもアメリカからも課税されない、税の真空地帯を見つけ出したのです。公聴会のカール・レビン委員長はその発見の比類のない価値に注目し、アップルは「聖杯」を手にしたと述べています。

「聖杯(ホーリー・グレイル)」というのはイエス・キリストが「最後の晩餐」で、パンを裂き「私の体である」と言って弟子たちに与え、杯をとって「私の血である」と、弟子たちにその杯からワインを飲ませたという福音書の物語から来ています。それ以来今日まで、その「聖杯」の行方を求めるいろいろな伝説が生まれました。アップルの発見した税逃れの魔術は、幾世紀にもわたってどんなに探しても誰も見つけることができなかった「聖杯」に匹敵するものであったというのです。

(公正な税制を求める市民連絡会幹事・合田寛)

アップルの空飛ぶ魔術―失われた2000億円余の税収・連載第1回「魔法から抜けられない日本」

第1回 魔法から抜けられない日本

アイフォーンやアイパッドなどは日本でもなじみの深い身近な商品ですが、それらの商品を提供しているアップル社はアメリカのカリフォルニアに本社を置く巨大多国籍企業です。本連載はアップル社を例にとり、巨大多国籍企業がどのように税を逃れているかを検証したいと思います。

アップル社は、同社の最新の年次報告書(2016年)が示すように、世界の販売高が2156億㌦(約23.7兆円)、営業利益が600億㌦(約6.6兆円)に上り、世界の企業ランキングのトップ10に入る巨大企業です。日本のトップ企業であるトヨタ自動車と比べると、販売高(28.4兆円)では肩を並べる一方、営業利益(2.9兆円)ではトヨタの2倍以上の高収益企業です。

アップルは日本でも存在感が大きく、年次報告書(2016年)によれば、日本での売上は169億㌦(約1.9兆円)、営業利益は71.65億㌦(約7882億円)となっています。

もし日本で生まれたこの利益に対して法人税率30%で課税したとすれば、2300億円程度の税収が得られたはずです。しかしその税収は日本の国庫には入っていないようです。アップル社の世界的なスケールの税逃れ戦略によって、他の多くの国と同様、日本でもこの巨額の税収が失われていることがこのほどわかりました。

アップル社の世界的規模での税逃れについては、2013年に開かれたアメリカの上院の常設調査小委員会の公聴会で初めて詳細に解明されました。これを受け、ニューヨークタイムスなど欧米の主要メディアでも大きく取り上げられました。アップルの世界的な税逃れは、後で述べるように、アメリカ以外で得られた利益をタックスヘイブンとして知られるアイルランドに移転して税を逃れるという手法で行われました。ヨーロッパ諸国では市民の抗議の声が高まり、各国政府は自国にあるアップル子会社に対する課税を強めようとしています。

昨年8月には欧州委員会がアイルランド政府に対して、アップル社への税優遇は欧州連合(EU)が禁止する個別企業に対する国家補助にあたるものとして、130億ユーロ(約1.6兆円)の追徴課税を行うよう指示するに至っています。

またアップルなど多国籍企業による税逃れを封じることが国際的な優先課題として合意され、OECDによるBEPS(Base Erosion and Profit Shifting税源浸食と利益移転)プロジェクトが具体化され、現在、各国でその取り組みが始まっています。

アップル社の税逃れはまさにBEPS(ベップス)プロジエクトが問題にしている、多国籍企業の利益移転による税逃れの典型例であり、ここに手を付けない限り、BEPSプロジェクトも絵に描いた餅にすぎなくなります。

わが国ではこれまで、アップルなど多国籍企業の税逃れがほとんど野放しで、ヨーロッパ諸国の取り組み比べても大きく後れを取っています。BEPSプロジェクトを主導することが期待されている日本にとって、この問題は真っ先に取り掛からなければならない課題です。

次回以降で述べるように、アップル社は税を逃れるために、法をかいくぐるいくつかの魔法を使ってきました。まずはその魔法を解くことから始めなければなりません。

(公正な税制を求める市民連絡会幹事・合田寛)

アップルの空飛ぶ魔術―失われた2000億円余の税収―近く連載開始

「アップルの空飛ぶ魔術―失われた2000億円余の税収―」。近々に、フェイスブック、ホームページ等での連載を開始します。
本連載では、アップル社を例にとり、巨大多国籍企業がどのように税を逃れているかを検証します。
筆者は、公正な税制を求める市民連絡会幹事・合田寛さんです。
どうぞ、お楽しみに!

(連載・全7回)
第1回 魔法から抜けられない日本
第2回 4つの魔法
第3回 遥かなる旅へ
第4回 「消された」子会社
第5回 ふたたび旅へ
第6回 魔法で消えた1兆円
第7回 BEPSプロジェクトと日本の課題