事務局次長 司法書士 水谷英二
7月29日、四ツ谷の主婦会館プラザエフ8階において、公正な税制を求める市民連絡会の設立3周年記念集会「希望と連帯の社会をめざして~格差社会を乗り越える財政とは」を開催した(参加者約130名)。
これまでの集会の中で、本集会は、財源に関する対立点にもっとも鋭く踏み込む集会となったといえよう。まず、重度障害を抱える華川悠妃さんから障害年金と児童扶養手当の併給禁止による生活困窮の実態報告、続いて、高校教諭・富貴大介さんから給付型奨学金給付の不足、過度な教員事務負担の当事者報告があった。
基調報告(1)の松尾匡立命館大学教授からは、「社会保障財源は、金融緩和マネーを利用する、国債を発行、消費税増税凍結、累進課税強化、内部留保課税、法人税増税をする。インフレが発生した場合には増税すればよい。」という提言があった。
一方、基調報告(2)の高端正幸埼玉大学准教授からは、松尾教授に対する反論として、「40兆円という社会保障財源を出すためには、増税せずに社会保障を充実することは不可能、そのための消費税の増税も結果としてやむをえない、ただし、その前に、累進課税強化、法人税見直しが必要。国民の意思として、納税で自らの社会保障を享受する責任を持つ意識が重要。」という提言があり、議論が白熱化した。
パネルディスカッションでは、竹信三恵子和光大教授より、格差拡大、非正規労働の劣悪化、信頼できない現政権の状況から、税制を一人歩きして議論することは問題である、との発言があった。宇都宮健児共同代表からは、国民が政治、税制に関心を持ち、連携して運動していくことが必要、との発言があった。また、会場発言の合田寛氏から、イギリスにおける福祉国家から金融国家への変遷についての報告があった。
コーディネーターの猪股正事務局長より、今後の運動論について様々な意見が紹介された。閉会挨拶では、山根香織共同代表から、多様な意見を国民的運動にすることが必要であるとの発言があった。第2弾が待ち遠しいのは、参加者の共通する思いであろう。
写真1:立命館大学教授 松尾匡さん
写真2:埼玉大学准教授 高端正幸さん
写真3:和光大学教授 竹信三恵子さん