租税特別措置に関するパブリック・コメント

公正な税制を求める市民連絡会は、政府の「租税特別措置・補助金の適正化に向けた提案募集」に対し、以下のパブリックコメントを提出いたしました。

 租税特別措置は特定の政策目的のために、税の本則に例外を設け、一定の軽減措置をとるものであるが、それは効果としては財政による直接支出と同じであり、「租税支出」としての性格を有している。したがって税の公平性を犠牲にしても特別の減税を必要とする緊急性、必要性のある対象に限定的に運用されるべきものである。それゆえ、対象の選定にあたっては、政策の緊急性・妥当性、政策目的達成のための他の手段の有無など、厳しいチェックが求められる。また国民の監視が十分届く制度が構築されなければならない。

 ところがわが国の租税特別措置は、さして重要性・緊急性のない政策目的のために安易に創設され、適用期限も明確でない場合も多く、期限が到来しても、一部の修正のみで、適用期限の延長を図る事例が多い。とりわけ減税額の大きい大企業向けの設備投資や研究開発の促進を目的とした大型特別措置は、政策効果が不透明であり、事実上「隠れた補助金」となっている。

 租税特別措置は一度導入されたとしても、不断に政策効果の検証が求められる。わが国では一応評価制度はあるものの、まず所管省庁(経産省、国交省など)が評価原案を作成するために、実証が不十分なまま「効果あり」の評価が出る可能性が高い。また企業の内部データが十分入手できないために、適正な評価ができないなどの問題を抱えている。米国では行政機関から独立した議会調査局(CRS:Congressional Research Service)が租税支出(租税特別措置)について継続的に評価レポートを作成している。

 また租税特別措置の運用の実態は国民に十分開かれていなければならない。財務省は毎年「適用実態調査」を公表しているが、適用を受ける企業名や企業ごとの減税額が公表対象となっていないことなど、不透明な部分が多い。「世界租税支出透明性指数(GTETI)」は租税特別措置の透明度を5つの軸(一般公開、制度的枠組み、報告の完全性、報告の質、政策評価)で評価しているが、日本は104か国中73位で、G7諸国中、最下位となっている。

 以上の評価を踏まえて、当会としてさしあたって以下の提案をおこなう。

(1) 来年度税制改正大綱には、投資促進税制(「特定生産性向上設備等投資促進税制」)、試験研究費の税額控除制度(「重点産業技術試験研究費の額に係る税額控除制度」)など、特別措置の新規創設が含まれており、その政策目的には「強い経済の実現」が掲げられている。しかし「強い経済」という政策目的は、特に差し迫った緊急性のある政策目的とは言えず、税の公正を犠牲にしてまで特別の配慮を必要とする目的ともいえない。また政策効果の検証も困難である。またいずれも大企業向けの大型特別措置であり、その必要性の根拠は乏しい。

 しかもこのうちの投資促進税制は、生産性向上を図るものと認められた特定の設備等の取得に対して、「直接償却(取得価格の100%の特別償却)」を認め、かつ15%以上の投資収益率を上げることを条件とする異例で最強の特別措置である。本措置による減収見込みは平年度4100億円という大型特別措置である。

 高市政権は消費税の減税を公約し、その財源を租税特別措置の整理に求めているが、その公約にも逆行するものである。したがって当措置は来年度税制改正に盛り込まないよう求める。

(2) 租税特別措置に関する現行の政策評価制度は不十分であり、抜本的に改善される必要がある。現行の評価の対象は租税特別措置のごく一部に限られており、内容も形式的である。評価の対象を広げ、内容を充実させるなど、制度を抜本的に強化する必要がある。

 しかも特別措置を作った側による自己評価では十分な評価は得られない。担当省庁や財務省だけに任せるのではなく、米国のように、国会など第三者機関による客観的な評価制度の確立が必要である。

(3)  特別措置の運用の実態については、財務省が「租税特別措置の適用実態」を公表しているが、形式的であり、内容が不十分である。透明性に関する我が国の国際的評価は著しく低い。評価は国民の監視が十分行き届くよう、企業名や企業ごとの減税額の公開など、透明性の強化に取り組むことが望まれる。

以 上

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