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「デジタル課税」―改革のまたとないチャンス

G20大臣会合は10月18日、OECD事務局が9日公表した、巨大IT企業に対する課税強化に向けた「デジタル課税」の新しい国際ルール案を承認した。

新ルール案は、①「新しい課税権」を創設し、市場国(消費者やユーザーのいる国)でも、その国で事業を行う多国籍企業に課税できる道を開くこと、②多国籍企業が負担すべき税率の最低限を取り決め、各国による税の切り下げ競争に歯止めをかけることの二つの柱からなっている。

ほぼ一世紀前に作られた現行国際課税ルールは、グローバル化とデジタル化が急速に進展する今日時代遅れになり、多国籍企業はその旧式のルールを悪用し、またルールの隙間を利用することによって、さらに課税を逃れた資金をタックスヘイブンに隠すことによって、「合法的」に税を逃れてきた。
現在、「デジタル課税」のルール作りは、130数か国が参加する「BEPS包摂的枠組み」の下で進められており、現行ルールにとらわれず、「先入観なしに」新しいルールを作ることが合意されている。

OECD事務局案は、「新課税権」を創造し、グローバルに展開する多国籍企業の子会社群を、独立企業の集まりと考える現行の国際課税ルールに根底にあるフィクションを捨て、単一の企業としてそのグローバルな総利益を集計し、「価値の創造」に沿って各国に配分する、新しい国際ルール(ユニタリー・タックス)に向けての第一歩と位置付けることができる。

OECD事務局案は、市場国に支店など物的な拠点がなくても、新しいネクサス(つながり)を見出し、課税できる道を開いたこと、また利益の配分ルールに関して、現行の「移転価格ルール」によらず、多国籍企業のグループの総利益をもとに、「売上」を基準に、関係国に配分するいわゆる「定式配分ルール」を提案していることはとくに注目に値する。

しかしOECD事務局案は、①総利益を「通常利益」と無形資産が生み出す「超過利益」に分割し、各国に配分するのは「超過利益」の一部のみとしていること、②配分の基準を「売上」のみとすることによって、大消費国である先進国を有利に、実際の生産活動を担う途上国を不利にしていることなど、大きな弱点を持っている。
課税を「価値の創造」に適合させるためには、多国籍企業の総利益を配分の対象にすべきであるし、配分基準として「売上」だけでなく、「雇用」などの要素も取り入れるべきである。

いま、現行ルールを維持しようとするビジネス界のロビー活動や米欧の利害対立が強まる中で、事務局案の合意がさらに後退する懸念が強まっている。
「デジタル課税」に関する国際ルールは、国際的最低税率のルールとともに、2020年末の最終決着に向けて引き続き検討が続けられる。動き始めた改革の芽をつぶさず、さらに前進させるために、市民社会の緊急な対応が要請されている。

(2019.10.20 公正な税制を求める市民連絡会幹事 合田 寛)

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