2025年7月2日
公正な税制を求める市民連絡会
公正な税制を求める市民連絡会(https://tax-justice.com/)では、参院選前のこの時期に、国会議員を出している主要政党に対して、税制と社会保障、それと関わる貧困・格差の問題に関する公開質問を送付し、アンケート調査を実施しました。各政党よりご回答いただいた内容について、原文のまま掲載いたします。
調査期間 : 6/20~7/1
アンケート送付政党(9政党) : 自由民主党、公明党、立憲民主党、国民民主党、日本共産党、日本維新の会、社会民主党、れいわ新選組、参政党

※ 7月1日現在、回答をいただけていない政党:日本維新の会、参政党
1 格差の拡大への対応について
近年日本において、不平等と格差拡大が著しく、生活に困窮する多くの人たちがいる一方、富裕者の富はますます膨らむ傾向にあります。この傾向はますます顕著になっています。格差の拡大に対し、どのように対応したらよいと考えますか。
① 格差拡大は個人の能力や努力の差によって起きるものであり、社会の活力を維持するために、格差拡大を是正する政策はとるべきではない。
② 行き過ぎた格差拡大は社会の公正さを失わせ、社会の分断を引き起こし、民主主義をむしばむ要因となっている。政府は労働・教育・社会福祉などの分野はもちろん、税の分野でも格差是正を主要な政策課題として取り組むべきである。
:立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新撰組
③ その他
③ その他
:自由民主党、公明党、国民民主党、
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)格差是正は重要な課題であり、税制のみならず政策総動員での対応が必要です。市場だけでは解決できない外部性の大きい社会的課題について、この課題をエネルギー源と捉え、新たな成長を図ります。人への投資としては賃上げ税制を導入するなど、官民連携して賃上げの社会的雰囲気を醸成します。その他、税制については経済社会の構造の変化をとらえながら、経済成長の実現と再分配機能の回復を図ることが必要です。
(公明党)格差の拡大に対応するため、これまで最低賃金の引き上げや同一労働同一賃金の徹底、所得税の課税最低限の引き上げなど所得水準の底上げに取り組んできました。また、医療や介護、教育や保育などの公的サービスについては、所得や資産の多寡にかかわらず誰もが平等に受けられるようにすべきとの考え方のもと、教育無償化の拡充や全世代型社会保障の構築にも取り組んできました。
今後も格差是正や所得の再分配機能の強化といった観点から諸制度の見直しに取り組んでまいります。
(立憲民主党)OECDやIMFの研究者が指摘するように、経済成長と格差是正はトレードオフの関係ではなく、両立し得るものです。むしろ、中低所得者層は限界消費性向が高いため、税制の所得再分配機能を強化し、格差を是正することは、我が国のGDPの5割強を占める個人消費の活性化に繋がり、経済成長にも資すると考えられます。
(国民民主党)現役世代の給料と手取りを増やすことが、年金の底上げにもつながり、格差拡大防止にも資すると考えます。格差拡大の是正に向けた政府の予算のあり方を検証するため、経済財政の将来推計を踏まえ、法人課税、金融課税、富裕層課税も含め、財政の持続可能性を高めます。
(社会民主党)大企業・富裕層へ応能負担の税制改革が必要です。
消費税が導入されて30年、日本の税制は富裕層・大企業優遇の不公平税制になりました。最大40%だった法人税率は、23%にまで引き下げられ、本来社会保障に充てられるはずの消費税が法人税減収の穴埋めにされました。さらに法人税優遇措置により巨大企業の実効税率は10%台。所得税の累進課税も弱められました。株など金融所得には一律20%しか課税されず、所得が1億円超える人の負担が低くなる「1億円の壁」も大問題です。法人税の引き上げや金融所得課税の分離課税方式を廃止して総合課税に移行し、累進税率を適用することで税の再配分機能を高めます。
(れいわ新撰組)格差の是正にとって重要なのは税制です。累進性の強化を強め、法人税についても累進制度を導入する事で公平な税制を目指します。同時に、政府の施策の財源は税だけではないという観点から、国債発行により積極財政の施策を実施する事で、人々の暮らしの底上げ、生活に必要なインフラ、教育など未来につなげる投資を行っていきます。
2 財政赤字への対応について
コロナ禍を経て一層拡大した巨額の財政赤字については、今後どのように対応すべきだと考えますか。(複数回答可)
① 基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する方針を維持すべきである。
:公明党、立憲民主党
② 基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化させるという従来の方針を抜本的に見直し、経済と財政の持続性確保の両立を図る長期的な計画を立てるべきである。
:立憲民主党、国民民主党、日本共産党、
③ もっぱら歳出の縮減によって、財政の健全化を図るべきである。
:立憲民主党
④ もっぱら増税によって、財政を健全化させるべきである。
⑤ 財政赤字は基本的に経済成長による税収増で対応する。
⑥ 自国通貨建ての国債発行であれば政府が借金をしても債務不履行とならず、財政は破綻しないので、国債発行で対応すればよい。
:国民民主党
⑦ その他
:自由民主党、公明党、社会民主党、れいわ新撰組
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)財政赤字への対応については、骨太方針2025に基づき、「経済あっての財政」の考え方の下、必要な政策対応を行いつつ、金利上昇局面において、大災害や有事に十分に対応する財政余力を確保し、将来の経済・財政・社会保障の持続可能性を確
保していきます。このため、2025年度から26年度を通じて、可能な限り早期のプライマリーバランス黒字化を目指し、その上で、一定のPB黒字幅を確保しつつ、債務残高対GDP比を、まずはコロナ禍前の水準に向けて安定的に引き下げることを目指し、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを更に前進させていくことが重要です。
(公明党)持続可能な財政を責任をもって将来に引き継いでいくため、財政の信認確保に努めることが重要です。また、大災害や有事の際に十分に対応するための財政余力を確保しておくことも重要です。引き続き、「経済あっての財政」の考え方のもと、経済成長を実現しながら、プライマリーバランスの黒字化や債務残高対GDP比の安定的な引き下げといった財政健全化目標に着実に取り組み、経済再生と財政健全化の両立を推進していきます。
(立憲民主党)財政健全化目標について、政府は今回の「骨太の方針」で基礎的財政収支(PB)黒字化目標の達成時期を事実上後退させましたが、まずは元々の目標であった
「2025年度」の黒字化を実現すべきです。
その上で、今後については、金利が上昇しつつある現下の情勢を踏まえ、PBではなく、利払い費を含む財政収支を目標として用いることなども検討すべきと考えます。また、債務残高対GDP比についても、「安定的な引下げ」という定性的な目標ではなく、数値目標を掲げるなどして、持続可能な財政運営の実現に真摯にコミットする必要があると考えています。
また、財政健全化を実現するために有効なのは、歳出の抑制です。現在、経済・財政に関する推計は内閣府が実施していますが、見通しの甘さが度々指摘されています。楽観的な予測は、財政赤字を過少に見積もることに繋がり、歳出膨張の一因となります。また、我が国の予算は単年度主義を採用していますが、年度内に予算を使い切ろうとしたり、予算が短期的視点で立案されたりするために無駄が生じる――などといった問題点が指摘されています。これらの課題を解決するため、私たちは、国会の下に独立財政機関を設置して、主要政策の費用対効果や財政の見通しを客観的・中立的に試算・公表するとともに、その試算に基づき「中期財政フレーム」(3カ年度にわたる予算編成の基本的な方針)を策定することを政府に義務付けることを提案しています。
(国民民主党)経済財政の将来推計を踏まえ、法人課税、金融課税、富裕層課税も含め、財政の持続可能性を高めます。
(社会民主党)社民党は、ミサイルよりコメを!ミサイルよりくらし・生活を!ミサイルより平和を!を訴えています。
国民のくらしや生活を支えるために緊急措置として国債を発行することは必要ですが、戦時中の時にように国債を乱発するような愚行を再び繰り返してはいけないと考えます。本来、建設国債の目的は、教育・福祉・防災などの国民の生活インフラ整備のために使われるべきであり、これを軍事目的に使えば、国民の生活向上・地域活性を阻害し財政赤字を将来世代に残す形になり「戦争のための借金」となります。将来の子どもたちにツケを残すことになり社民党は防衛建設国債の発行には反対しています。
(れいわ新撰組)PB黒字というのは経済政策の結果、経済の拡大の結果として達成されるもので、現在の政府のように、PB黒字化目標を設定し、歳出削減を行いながら実現させるべきものではありません。我々は財政政策の自由度を縛るPB黒字化目標は廃止すべきと考えています。財政再建のためではなく、私たちはあくまで格差是正やインフレ抑制(ビルトインスタビライザー)などの目的のための公平な税制の実現のために累進課税の強化を提唱しています。
3 所得税について
所得税は累進構造を持ち、負担能力に応じた税として、我が国の税制の中で長く基幹的税制としての役割を果たしてきました。しかし、最高税率が引き下げられ、金融所得など高所得層の所得が分離・低率課税とされるなどによって、累進性が弱められてきました。さらに消費税の増税や社会保険料負担の高まりによって、わが国税制は全体として累進性が弱められる傾向にあります。所得税のあり方についてどのように考えますか。
(複数回答可)
① 所得税は今後とも日本の税制の基幹的税制としてその役割を高めるべきである。
:れいわ新撰組
② 所得は把握が困難で課税逃れも多く、基幹的な税として適切ではない。
③ 昨今の不平等の拡大を抑止するために、所得税は累進性を高める必要がある。
:立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新撰組
④ 累進性の強化は勤労意欲を阻害し、経済活力を低下させることになるので、好ましくない。
⑤ 全体としての累進性を確保するために、社会保険料の個人負担を軽減する。
:れいわ新撰組
⑥ その他
:自由民主党、公明党、国民民主党
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)所得税については、所得再分配機能の強化を図る観点から、平成25年度税制改正において最高税率の引上げを行ったほか、令和5年度税制改正において、金融所得を含め、極めて高い水準の所得を対象として追加的に負担を求める措置を令和7年分所得から導入するなど、累次の改正を行ってきたところです。税制については、引き続き、中長期的視点に立ち、持続可能な経済財政運営を行う観点から、経済社会の構造変化を踏まえて、応能負担を通じた再分配機能の向上や格差の固定化防止を図りつつ、あるべき税制の具体化に向け、見直しを進めてまいります。
(公明党)成長型経済への移行を実現するためには、家計の可処分所得を継続的に増加させていくことが重要です。そのため、公明党は所得税の更なる負担軽減を進めるべきと考えています。具体的には、教育費にお金がかかる子育て世帯や若者・現役世代の負担を軽減するため、扶養控除の拡大や奨学金減税の創設などを提案しています。
引き続き、格差の是正や所得再分配機能の適切な発揮、働き方に対する中立性の確保、子育て世帯の負担への配慮といった観点から、歳出面を含めた政策全体での対応も踏まえつつ、各種控除のあり方について検討していきます。
(立憲民主党)所得税については、「分厚い中間層」を復活させるため、勤労意欲の減退や人材の海外流出等の懸念に十分配慮した上で、累進性を強化すべきです。また、所
得控除から税額控除へ、さらに税額控除から「給付付き税額控除」への転換、基礎控除の拡充をはじめとした諸控除の見直し等により、所得再分配機能を強化し、高所得者に有利な税体系を中低所得者の底上げにつながるものに改める必要があると考えています。
(国民民主党)所得税を課す最低金額の引き上げ等を行い、賃金上昇に伴う名目所得の増加によってより高い所得税率が適用され、賃金上昇率以上に所得税の負担が増える「ブラケット・クリープ」に対応します。具体的には1995年からの最低賃金の上昇率1.73倍に基づき、基礎控除等の所得要件を撤廃するとともに178万円に引き上げます。
(社会民主党)社民党は、所得税の累進性強化 を重要な政策の一つとして掲げています。特に、金融所得課税の強化を通じて高額所得者ほど税負担が軽くなる現状を是正し「1億円の壁」の解消を進め、税制の公平性を高めることを目指しています。社民党は、所得税の累進課税強化し、最高税率の引き上げを検討し、高所得者への負担を増やすことで税の再分配機能を回復させます。金融所得への課税を強化し、株式や投資による所得の優遇措置を見直します。
(れいわ新撰組)所得税の累進性のブラケットは縮小する方向で進められてきたが、この流れは格差の拡大につながっていると考えます。その意味でブラケットの見直しを行う必要があると考えます。
4 いわゆる「103万円の壁」について
年収が103万円を超えると課税されるいわゆる「103万円の壁」が問題視され、今年度税制改正で160万円に引き上げられましたが、この問題についてどう考えますか。(複数回答可)
① 引き上げは評価できる。
:公明党、立憲民主党、
② 103万円とされた時以降の物価上昇に見合って、さらに引き上げる必要がある。
:社会民主党
③ 大幅な税収減を招来するから、反対である。
④ 富裕層を優遇することになる所得控除方式ではなく、税額控除方式とすべきである。
:立憲民主党、れいわ新撰組
⑤ 低所得の非納税者にも効果が及ぶよう、給付付き税額控除を設ける。
:立憲民主党、国民民主党
⑥ その他
:自由民主党、日本共産党
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)いわゆる「103万円の壁」については、国民民主党との3党協議も踏まえ、本年から、所得税の課税最低限が103万円から160万円に引き上げられたところ
です。今般の見直しは、物価上昇を超えて一律に基礎控除を引き上げれば、低所得者に
比べて高所得者への非常に大きな減税となるところ、高所得者優遇とならないよう工夫しつつ、幅広い納税者の税負担を軽減するものです。今後の物価上昇への対応については、税制改正法の附則に「物価の上昇等を踏まえて適時に引き上げるという基本的方向性により、具体的な方策を検討」といった方向性が示されています。今後も引き続き真摯に政党間協議を行ってまいります。
(公明党)当初、政府からは、基礎控除の引き上げを最後に行った1995年から生活必需品の物価が20%程度上昇したことを踏まえ、課税最低限を103万円から123万円に引き上げる案が示されましたが、公明党は、課税最低限が最低生活費の水準を下回っている実態を是正すべきと主張し、160万円まで引き上げることに決定しました。今後は、物価上昇に応じて基礎控除等を適時に引き上げていくことも法定化しましたので、具体的な仕組みの整備に取り組んでいきます。
(立憲民主党)いわゆる「年収の壁」問題については、今後も物価の動向等を踏まえながら、基礎控除の合理的な範囲での引き上げ、配偶者控除や扶養控除等の所得要件の引
き上げなど、必要な措置を講じるべきと考えています。なお、現行の基礎控除は、所得控除であるために、高所得者ほど減税額が大きくなるという問題を抱えていますので、税制の再分配機能を強化する観点から是正を図るべきです。
(国民民主党)所得税を課す最低金額の引き上げ等を行い、賃金上昇に伴う名目所得の増加によってより高い所得税率が適用され、賃金上昇率以上に所得税の負担が増える「ブラケット・クリープ」に対応します。具体的には1995年からの最低賃金の上昇率1.73倍に基づき、基礎控除等の所得要件を撤廃するとともに178万円に引き上げます。
(日本共産党)基礎控除の引き上げが所得税のみにとどまっていることは不十分であり、住民税についても引き上げをはかるべきである。
(社会民主党)社民党は、所得税の課税最低限を示す「103万円の壁」について現状のままにせず、より高いラインに引き上げることに賛成です。党首の福島みずほ参議院議員も、上限の引き上げに賛成する表明を出しています。壁の引き上げは憲法第25条に基づく、生存権保障の観点からも必要であり、課税最低限の見直しは不可避です。なお、その減収分については、地方財政や国民生活を圧迫しないよう、軍事費(防衛費)の削減などで財源を捻出すべきと考えます。
(れいわ新撰組)今の所得控除の制度のままでは、年収の壁103万円から引き上げても高所得者の方が優遇されてしまう。「基礎控除」を引き上げつつ高所得者優遇を回避するには、高所得者には控除額を下げる、高所得者には別の控除を認めないなどの制度調整が必要。高所得者優遇を避けるため、OECD諸国では日本のような所得控除ではなく、低所得者へのゼロ税率や「税額控除」という仕組みで対応していると理解している。
5 金融所得課税について
わが国の所得税は所得1億円を超えると逆に負担率が低くなる逆累進となっています。それは配当やキャピタルゲインなど金融所得が他の所得と分離され、低税率が適用されているためだと考えられます。このような金融所得課税のあり方について、どのように対応しますか。
① 株式配当、譲渡益などに対しては、貯蓄から運用へ、資産の多様化、国際競争力等の観点から優遇税制が必要である。
② 総合課税化または適用税率の引き上げ等により、金融所得の優遇税制を是正し、所得税の累進性を回復する。
:立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新撰組
③ 現状維持
④ その他
:自由民主党、公明党
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)税負担の公平性の重要性は十分に認識しており、令和5年度税制改正において、金融所得を含め、極めて高い水準の所得を対象として追加的に負担を求める措置を
導入するなど、一定の対応を図ってきました。他方、税負担の公平性の確保に加え、貯蓄から投資への流れを引き続き推進し、一般の投資家が投資しやすい環境を損なわないようにすることも重要です。この観点からは、例えば、我が国においては、金融所得の課税方式の原則が、「分離課税」かつ「20%の比例税率」とされているため、現状では確定申告は不要です。しかし、例えば、仮に金融所得に累進税率を適用する場合、納税者自身の確定申告が必要となり、この利便性が損なわれます。こうした点も含めて、今後とも、金融所得課税のあり方を総合的に考えていく必要があります。
(公明党)いわゆる1億円の壁の是正に対応するため、極めて高い水準の所得については最低限の負担を求めるミニマム課税を導入しました。
一方、いま抜本的に拡充したNISA等を通じて、一般投資家の貯蓄から投資への流れが加速しており、この流れを一層着実にすることも重要です。金融所得課税のあり方については、こうした点も留意して検討していきます。
(立憲民主党)金融所得課税については、「1億円の壁」の解消に向けて、当面は分離課税のまま超過累進税率を導入し、中長期的には総合課税化すべきと考えています。な
お、中間層増税を避けるため、一律の税率引き上げを行うことは考えていません。
(国民民主党)所得再分配機能回復の観点から、金融所得課税の強化を行います。
(社会民主党)所得が増えるほど高率課税とする所得税の累進強化することで再分配機能の回復します。金融所得課税の分離課税方式を廃止して総合課税に移行し、所得が増えるほど高率課税な累進税率を適用することで税の再配分機能を高めます。
(れいわ新撰組)中間層への金融所得税率一律引き上げは避け、超富裕層に絞った施策としては、税制改正で「ミニマムタックス制度」が導入されたと理解しています、その上で、金融所得の優遇税制についてはNISAのような大衆向けの枠組みとの関係性に影響を及ぼさないように制度設計をしていくことが、一般の人々の消費意欲をそがない形で税制の見直しができると考えます。
6 法人税率について
これまでの累次の税率引下げによって、法人税の税収は減り続けています。法人税の引き下げ競争を止めることが2021年のG20で国際的に合意されましたが、今後日本はどのように対応すべきでしょうか。(複数回答可)
① 経済の活性化、国際競争力の維持のために税率引き上げには反対する。
② 高収益を上げ、内部留保を積み増している大企業に応分の負担を求め、税収を確保するため、税率引き上げに転じるべきである。
:日本共産党、社会民主党、れいわ新撰組
③ 法人税にも利益に応じて高い税率を適用する累進課税を取り入れる。
:れいわ新撰組
④ 現状維持
⑤ その他
:自由民主党、公明党、立憲民主党、国民民主党
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)今後の法人税については、令和7年度税制改正大綱において、「法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、メリハリのある法人税体系
を構築していく」とされたことなどを踏まえつつ、検討を進め、不断の見直しを行ってまいります。
(公明党)投資のインセンティブを高めることが法人税改革のめざすべき方向性です。たとえば、法人税率を引き上げつつ、賃上げや投資を行った事業者には減税するなど、メリハリのある法人税体系を構築すべきと考えています。
(立憲民主党)法人税率の引き上げは検討すべき課題の1つですが、グローバル化が進むなかで、海外諸国の課税水準なども見極めていかなければならず、慎重な議論が必要
です。ただし、いずれの場合でも、中小企業の軽減税率(15%)については、維持・恒久化すべきと考えています。なお、私たちは、法人税については、効果のない租税特別措置の廃止、受取配当等益金不算入制度の見直しなどにより、法人の収益に応じて応分の負担を求める税制に改革すべきと考えています。
(国民民主党)経済財政の将来推計を踏まえ、法人課税、金融課税、富裕層課税も含め、財政の持続可能性を高めます。
(社会民主党)社民党は、大企業や富裕層に適正な負担を求め、税の再分配機能を強化すべきと考えています。大企業が受けている優遇税制を見直し、法人税率を引き上げることで、「応分の税負担」を求めています。特に、内部留保を溜め込む大企業や実効税率の低下によって実質的に軽課(優遇)されている企業に対しては、法人税率の引き上げを求めています。
(れいわ新撰組)財源については国債と、法人税の累進課税化などの不公平税制の是正に求めます。私たちは税だけではなく、国債発行も政府の行政サービスを行うための財源と考えています。一方で、消費税の増税はこれまでの法人税の減税の穴埋めとして機能してきた実態を考えれば、不公平税制の是正が必要。具体的には、法人税の累進課税化、所得税の累進性強化などの税制改革を速やかに行うことで、総需要が過剰時には自動的に、大企業や富裕層の負担でインフレを冷やせる仕組みを整えることが必要です。同時に、大企業のための租税特別措置の見直しが必要と考えています。これらの直接税改革を行い、それらの負担の見直し分で結果的に生まれる税収は、消費税の減税や廃止する事により減少する税収の穴埋めに充てることができます。同時に法人税の累進税化によって、財政政策の結果、景気が過熱しすぎることも抑制できる(ビルトインスタビライザー機能)と考えています。
7 法人税の優遇措置の見直しと、課税ベースの拡大について
法人税については、大企業であるにもかかわらず法人税を納税していない企業が少なくなく、また、巨大企業の実質的な法人税負担率が中小企業より低い事態が生じています。また、様々な特別措置によって、法人の実質的な税負担率は10%程度にしかなっていないとの指摘があります。
法人税について、受取配当金の益金不算入制度の見直し、租税特別措置の廃止・縮小等により、法人税の課税ベースを拡大する必要があると思いますか。
① 大企業を優遇している特別措置は縮減・廃止すべきである
:立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新撰組
② 租税特別措置にはそれぞれ政策目的があり、縮減すべきではない
:公明党
③ その他
:自由民主党、国民民主党
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)「受取配当等の益金不算入制度」は、子会社の段階で法人税が課税されることから、二重課税を避けるための措置であり、こうした措置は諸外国でも一般的に導入
されているものです。また、租税特別措置は、特定の政策目的を実現するために有効な政策手法となりうる一方で、税負担の歪みを生じさせる面があることから、政策効果が高く真に必要なものに限定していくことが重要であると考えており、今後とも、必要性や政策
効果を見極め、不断の見直しを行っていきます。
(公明党)受取配当益金不算入制度は、子会社に課税される法人税との二重課税を避けるための制度であり国際的にも一般的な制度です。
また、租税特別措置は大企業を優遇するための税制ではなく、賃上げや投資の促進など政策課題に対応するための特別措置です。効果検証を行いながら、制度の改善を図っていく事が重要と考えます。
(立憲民主党)法人税については、収益に応じて応分の負担を求める改革を実行すべきです。具体的には、例えば、大企業向けの租税特別措置を精査して、効果を上げていないものについては廃止することも必要です。また、受取配当等益金不算入制度について、この制度自体は配当の支払法人と受取法人の間で二重課税とならないようにする観点から設けられたものですが、大企業の場合は特にこの制度による法人税負担の軽減が大きく、数千億円から兆円単位の利益を出していながらも法人税負担はゼロという大企業もあります。これについて、例えば益金不算入の割合を変えるなど、一定の見直しをしていくことも必要だと考えています。いずれにしても、いたずらに大企業から搾り取るというのではなく、経済全体のバランスを考えていく中で、大企業にも応分の負担を求めていきます。
(国民民主党)租税特別措置等については国会報告に基づき、効果が不明なもの、役割を終えたもの等を廃止し、真に必要なものは恒久措置へ切り替えます。
(社会民主党)現在、法人が他の法人から受け取る配当金に対し、一定割合を課税対象から除外(益金不算入)する受取配当金の益金不算入制度がありますが、この制度は、法人内部での資金循環を優遇する構造であり、大企業の租税回避手段になっている、と評価されています。よって、社民党は、受取配当金の益金不算入制度は見直すべきと考えます。
また、租税特別措置=大企業や資産家向けの「事実上の補助金」と位置付け、不必要・不公平な優遇制度である租税特別措置(各種優遇策)の廃止・縮小を強く訴えています 。特に、法人税減免措置や内部留保に対する課税逃れの温床となっているために課税ベースの拡大と再分配の強化を求めています 。社民党は、大企業の優遇を是正し、特別措置の見直し・縮小を通じて中立的かつ公平な課税を推進すべきと考えています。
(れいわ新撰組)大企業優遇税制は、これまでの企業献金に対する暗黙の見返りという見方もあり、租税特別措置法分だけでも約1.5兆円前後、それ以外の法人税の優遇部分でも数兆円に上るという分析(不公平な税制をただす会の試算)もあります。大企業にとっての特権になっている部分を見直していく事は必要です。
8 消費税について
消費税は累次の税率引き上げによって、最大の税収項目となり、税収に占める比率は30%を超えています。税収確保の中心をもっぱら消費税に求めるこれまでの政府の方針には限界も指摘されています。一方、いま物価高騰が進行する中で、物価対策として消費税を減税すべきという意見も高まっています。消費税の増減税等について、どのように対応しますか。
① 現状維持
② 増え続ける将来の社会保障費をまかなうとともに、社会保障の普遍性を高めて、より多くの人が社会保障に支えられるようにするため、減税は避けるべきである。
③ 減税し、税収に占める比率を減らす必要がある
:社会民主党、
④ 物価が安定するまで時限的に減税する
:国民民主党、
⑤ 廃止する
:日本共産党、れいわ新撰組
⑥ その他
:自由民主党、公明党、立憲民主党
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)消費税は、急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加する中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置付けられており、その税率を引き下げることは考えておりません。また、消費税の減税については、全国の事業者において、新たな値段設定の検討、新たな税率に対応するためのレジシステムの改修等、様々な影響が生じるため、相当の準備期間が必要になることや、高所得者や高額消費も含めて負担軽減がなされることとなるため、物価高の影響を最も受けている低所得者への支援という意味では効率性に乏しいこと等を踏まえても、物価高対策として消費税を減税することは適当ではないと考えております。
(公明党)消費税は社会保障の安定財源として機能しています。また、一時的な物価高対策のために消費税率を下げることは、税率変更に伴う価格改定やレジ・システムの改修など事業者の手間なども考えると非効率であり、適切ではないと考えています。
その上で、飲食料品の軽減税率については、日々の暮らしを支える社会保障として、恒久的な引き下げを検討すべきと考えています。今後、持続可能な社会保障制度に向けた改革の議論と合わせて検討を進めたいと考えています。
(立憲民主党)物価高騰が長期化し、国民生活が厳しさを増す中で、短期的な対策としては、消費税の減税は選択肢の1つです。しかしながら、消費税は国・地方合わせて30
兆円規模の税収があるため、財源も示さず、無責任に減税をしてしまっては、社会保障の財源が逸失するだけでなく、我が国の財政に対する信用度が低下することで、国債金利の上昇、円安の進行など、不測の事態が生じ、逆に国民生活に対して悪影響が及ぶ可能性があります。
したがって、私たちは、財政に対する責任と、国民生活に対する責任をともに果たすため、対象と期間を限定し、財源を確保した上で減税をする、「責任ある減税」の実現を主張しています。具体的には、特にコメをはじめとする食料品の価格が高騰し、国民の暮らしを直撃している現状に鑑み、来年4月より臨時・時限的に、食料品に係る消費税を8%から0%へと引き下げることを提案しています。減税の期間については、まずは1年間とした上で、経済情勢等を見ながら1度のみ延長可能としたいと考えていますが、これは法律に明記をすることで、実効性を担保します。財源については、赤字国債(借金)に頼ることなく、積み過ぎ基金の取り崩し、外国為替資金特別会計(外為特会)の剰余金の活用、租税特別措置などの税制の見直し等により確保します。なお、消費税の負担軽減策について、私たちとしては、国民が負担する消費税の一部を所得の多寡に応じた給付等の形で実質的に還付する「給付付き税額控除」の導入により対応するのが理想的であると考えています。ただし、同制度の設計・準備等には一定の時間を要するため、まずは食料品の消費税ゼロ%で対応し、これが終わり次第、「給付付き税額控除」に速やかに移行できるようにします。これにより、とりわけ中低所得者層の消費税負担について、恒久的に軽減できるようにしていきます。
(国民民主党)賃金上昇率が物価+2%に安定して達するまでの間、増税や社会保険料アップ、給付削減等による家計負担増は行わず、消費税減税(10%→5%)を行います。
(日本共産党)廃止を目指し、当面緊急に税率を5%に引き下げる。
(社会民主党)社民党は食料品の消費税ゼロを即実現し、物価高から生活を守ります。これは時限的なものでなく、恒常的に食料品は消費税ゼロをただちに行います。家計の
消費支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数は28.3%とOECD諸国でも日本は最高レベル、低所得世帯ほど食費の負担がさらに重くなっています。食料品の高騰が個人消費を押し下げています。このため物価高からくらしを守るため、食料品消費税ゼロを即時実現します。必要な財源は約5兆円、防衛費の引き下げや法人税・所得税の累進性の強化で十分賄えます。そして、トランプ関税で日本の雇用に深刻な影響が出た場合は、3年間消費税ゼロを断行し内需拡大を図ります。そのために使い途のない大企業の600兆円に膨れ上がった内部留保に課税することで、消費税減税の財源や中小企業の賃上げ支援の原資にします。
(れいわ新撰組)国のGDPの約55%を占める最大項目が個人消費。消費税は私たちの生活に必要な商品、サービスを購入する際にかかってくる税金であり、同時に納税義務者である中小零細事業者に負担は重くのしかかっています。そして、物価が高騰すればするほど消費税負担も増える。実質賃金が上がらない中、消費税は私たちが自由に使えるお金を奪っていきます。1989年に導入され、1997年に5%に増税されたときから日本は長期低迷を続けています。増税のたびに個人消費の大きな冷え込みが発生しています。一方で財界団体の要望を受け、法人税は減税されてきています。今こそ私たちの使えるお金を増やすために、消費税は廃止すべきで、最低でも一律5%まずは減税すべきと考えています。
9 金融サービスへの消費課税について
消費税は、本来、あらゆる物品・サービスの取引が課税対象ですが、銀行が金融仲介業務により得る利ざやなどの金融サービスは非課税とされています。低税率の時代にはあまり問題にされてきませんでしたが、消費税率が2桁になり、最大の税収項目となったいま、課税対象に取り込むべきという主張についてどう考えますか。
① 賛成
:社会民主党、
② 反対
:日本共産党、
③ その他
:自由民主党、公明党、立憲民主党、国民民主党、れいわ新撰組
その理由等
(自由民主党)銀行等から支払われる利子については、消費税の課税対象である「消費」への対価には当たらないこと等を踏まえ、消費税創設時から非課税とされていると承知しています。なお、金融機関が行う各種サービスの対価として支払われる手数料等については、従来から消費税が課税されていると承知しています。
(公明党)金融機関が行う様々なサービスの対価として支払われる手数料等については、これまでも消費税が課税されていると認識しております。そのうえで、例えば、銀行等から支払われる利子については、消費税の課税対象である「消費」への対価には当たらないこと等を踏まえ、非課税とされていると承知しています。
(立憲民主党)消費税においては、技術的な理由等から金融サービスを非課税にしているものと承知しています。今後、税制全体の議論を進める中で、必要に応じて検討して
いきます。
(国民民主党)財政の持続性や税の「公平・中立・簡素」の原則の観点等を踏まえ、税のあり方については議論を続けます。
(日本共産党)消費税は廃止を目指すべきものであり、課税対象を拡大することには反対。利子を課税対象にすれば、住宅ローンの利払いが現行より10%増しになるなど、大変な庶民増税となる。
(社会民主党)金融所得への課税を強化して株式や投資による金融所得の優遇措置を見直す必要があると考えています。
(れいわ新撰組)消費税は、私たちは逆進性が高いので反対しています。大銀行についても、他の大企業と同じように利潤には課税していくしくみが必要だと考えています。
10 インボイスについて
2023年10月から実施されているインボイス制度については、新たに課税事業者となった事業者から「価格転嫁ができない。」「負担が大きく事業が成り立たなくなる。」などの声が寄せられるなど、抜本的見直し行うべきとの指摘もあります。インボイス制度の見直しについて、どのように対応しますか。
① 現状維持
:自由民主党、公明党
② さまざまな弊害が出ているので修正すべき
③ 廃止すべき
:立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新撰組
④ その他
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)インボイス制度は、複数税率の下での課税の適正性を確保するために必要な仕組みであり、それを廃止することは適当ではないと考えております。その上で、制度の施行状況を把握し、把握した課題に対してはきめ細かく適切に対応していくことが重要であると考えております。
(公明党)インボイス制度は、公正な課税と適正な取引を確保するために必要な制度です。事業者の懸念に応え、新たに課税事業者に転換する事業者は納税額を3年間2割に軽減する特例措置も設けました。引き続き、制度の定着に向けて、価格転嫁や取引適正化対策の強化に取り組みます。
(立憲民主党)インボイスを発行できない免税事業者は取引過程から排除される可能性があり、逆にインボイス発行事業者(課税事業者)になると税負担と事務的なコスト
が大幅に増大するという状況にあります。この板挟みの中で、事業継続が困難となり、廃業を選択せざるを得ないという事業者も少なくありません。そして、これら免税事業者の中には、声優、俳優、デザイナー、イラストレーター、アニメーター、ライター、個人タクシー、居酒屋、一人親方、シルバー人材センターの会員など、日本の社会・経済・文化の土台を支える多くの業種が含まれています。
政府は、複数税率の下で適正な課税を行うためにインボイス制度が必要だと主張していますが、従前の区分記載請求書等保存方式でも適正課税は可能であり、導入の根拠は薄弱です。したがって、インボイス制度は速やかに廃止し、既にインボイス発行事業者に
転換した免税事業者等に対しては、必要な支援を実施すべきです。
(国民民主党)中小事業者、個人事業主及びフリーランス事業者の負担等を踏まえ、インボイス制度は廃止します。
(社会民主党)中小零細事業者・個人事業者に重い負担になっているインボイス制度(適格請求書等保存方式)は廃止・中止します。社民党所属の地方議員による中止請願も実施されており、国政・地方双方での反対運動を積極展開しています。個人事業主やフリーランスやクリエイター、声優など“文化の裾野”を支える業種にも深刻な打撃が及ぶため、その事業存続を脅かす制度であると非難しています。
(れいわ新撰組)インボイス制度は、フリーランスなどの免税事業者に対する事実上の増税を強いる制度です。免税事業者と取引したくない課税事業者から、「取引を停止する」と迫られるので、課税事業者にならざるを得なくなったり、事務負担が重くなったりするため、足腰のまだ弱い零細事業者泣かせの制度です。ご指摘のような、納税のために「所得や貯蓄」から捻出したり、「借金」をして支払っているという実態はもっと世に知られるべきです。インボイス制度はそもそも「複数税率制度」を前提に設計されており、これを温存すれば軽減税率を口実に更なる標準税率の増税も懸念されます。消費税率を一律にして減税するか、廃止すれば、インボイスの必要はなくなります。
11 富裕税の創設について
資産格差は所得格差を上回る速さで拡大しています。2024年7月末に開かれた主要20カ国(G20)の財務相・中央銀行総裁会議では、超富裕層の富に課税する「閣僚宣言」が採択されました。また国連の専門家委員会でも「富裕・連帯税」のガイダンスが作成されるなど、富裕税創設の検討が進められています。所得に対する課税の補完として、一定以上の資産がある富裕者の富に対して課税する富裕税の創設についてどう考えますか。
① 賛成
:日本共産党、社会民主党、れいわ新撰組
② 反対
:自由民主党
③ その他
:公明党、立憲民主党、国民民主党
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)いわゆる「富裕税」については、資産の把握の問題に加え、資産の評価の問題など、富裕税を導入した諸外国でも、多くの問題点が指摘されているほか、日本でも、
昭和25年に導入したものの、3年で廃止されたものと承知しています。
(公明党)G20において議論されている、富裕層課税に関する国際協力については、実現には執行面を含めて多くの課題があると聞いており、更なる議論・検討が必要であるものと承知しております。
(立憲民主党)資産格差の拡大は是正する必要があると考えていますが、「富裕税」については具体的に検討していません。我々としては、まず、税率構造や非課税措置の見
直しなどにより、相続税・贈与税の累進性を高めるべきと考えています。
(国民民主党)経済財政の将来推計を踏まえ、法人課税、金融課税、富裕層課税も含め、財政の持続可能性を高めます。
(社会民主党)社民党(社会民主党)は、「富裕税」(資産課税)の創設を含めた富裕層への課税強化を重要政策の一つと位置づけています。金融資産課税(富裕税)として
純金融資産の一定額以上に対して累進的に課税を導入。相続税・贈与税も同様に強化し、相続時精算制度の非課税枠の見直しを求めています。
(れいわ新撰組)日本は世界で2番目に富裕層が多い国です。富裕税を導入したうえで、その税収をどう配分するかは議論が必要ですが、負担力のある富裕層にしっかりと負担していたただくことは税の原則からも妥当と考えます。相続による格差固定の是正方法を研究するとともに、不況時には高額資産への資産課税を実施することで富裕層に支出を促し、経済を活性化する事で別の形での税収拡大も目指します。
12 金融取引税について
利益の有無にかかわらず、株式など金融「取引」に低率の税率で課税する金融取引税を導入することについてどう考えますか。
① 賛成
:社会民主党、れいわ新撰組
② 反対
:公明党
③ その他
:自由民主党、立憲民主党、国民民主党、日本共産党
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)お尋ねの「金融取引税」について詳細が不明ですが、新たな税の導入の検討に当たっては、必要性や合理性があるかといった課税根拠や、公平で効率的な課税が可
能かなどの観点を踏まえて、丁寧に検討する必要があるものと考えています。
(公明党)金融取引税の導入は、投資家の収益を悪化させるだけでなく、同税のない他国へ資金が流出する恐れがあります。イノベーション創出やサプライチェーン強靱化等を進める中にあって、国内企業の資金調達や対内直接投資に水を差すような政策は取るべきでないと考えます。
(立憲民主党)国際連帯税の枠組みの中で検討する必要があると考えています。
(国民民主党)国際金融取引に係る課税制度(いわゆる国際連帯税)について検討を行います。
(日本共産党)為替取引など、より投機性の高い取引に対する課税を導入する。
(社会民主党)社民党は、株式・債券・デリバティブなどの金融取引に対して税を課す金融取引税(FTT)の導入を、「マネーゲームに対する税」として支持しています。これは、投機的な短期取引などを抑制し、金融市場の安定と社会的責任を担わせる狙いがあります。社民党は、日本単独での実施は難しいため欧州での導入と歩調を合わせるべきであると考えています。
(れいわ新撰組)高速取引などが世界の金融市場にとって不安定化要因になっていることを踏まえると、一回当たりの課税は低税率でより頻繁に金融取引を行う業者に対して結果的に多くの課税を求める金融取引税は有効と考えます。制度設計は課題と思いますが必要だと考えます。
13 国際的な法人課税の新ルールについて
2021年、先進国、途上国を含む約140数か国が国際的な法人課税の新しいルールを合意しました。その内容は、①法人税率の引き下げ競争に終止符を打つために、15%の最低税率を設定する、②GAFAMなどの巨大多国籍企業の税逃れを封じるために、その世界利益に対して、利益率が10%を超える部分(超過利益)について、その25%を、売上がある国に配分する、というものです。この合意内容をどう評価しますか。(複数回答可)
① 十分である。
② 不十分であるが、歴史的改革の第一歩を踏み出すものであり、さらに強化するための国際協力が求められる。
:立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新撰組
③ 十分な国際的課税ルールが実現されるまで、多国籍企業に対して各国が独自
に課税するデジタル・サービス税(DST)を創設する。
:日本共産党、れいわ新撰組
④ 同時に、タックスヘイブンを利用した脱税・税逃れを封じるため、より強い対策が求められる。
:日本共産党、れいわ新撰組
⑤ その他
:自由民主党、公明党、国民民主党
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)2021 年の国際合意のうち、「第2の柱」グローバル・ミニマム課税については、法人税の引下げ競争に歯止めをかけるとともに、わが国企業の国際競争力の維持及び向上にもつながるものと考えています。また、「第1の柱」については、一国主義的な課税措置の拡散を防止し、国際課税システムの安定性・確実性を担保する観
点から、100 年来続いてきた国際課税原則を見直すものと考えています。わが国は、BEPS プロジェクトの立上げ時から、国際課税改革に関する議論を一貫して主導してきたところであり、本国際合意を歓迎しています。制度の詳細化に向けた国際的な議論に引き続き積極的に貢献することが必要と考えています。
(公明党)2021年10月の国際合意のうち、①「第1の柱」については、各国独自のデジタル・サービス税を廃止するとともに、市場国への課税権の配分を行うものであり、国際課税システムの安定性・確実性を担保しながら、100年来続いてきた国際課税原則を見直すものです。また、②「第2の柱」グローバル・ミニマム課税については、税制面での競争条件の公平性を確保し、わが国企業の国際競争力の維持及び向上にもつながるものであり、公明党はいずれも高く評価しています。
わが国として本国際合意を歓迎するとともに、「2本の柱」の実施に向けた国際的な議論に引き続き積極的に貢献することが必要と考えています。
公明党は、本国際合意の着実な実施を政府に求め、実効性ある運用と企業・国民双方に配慮した対応を推進してまいります。
(立憲民主党)巨大IT企業等のいわゆる国際プラットフォーム企業が、ビジネスを展開し利益を上げている国でほとんど納税していない実態に対し、法人税の最低税率に関する国際合意が実現したことも踏まえ、国際課税の枠組みをさらに強化すべきと考えます。
(国民民主党)「GAFAM」と呼ばれる巨大 IT 企業等がビジネスを展開し、利益を上げている国でほとんど納税していない実態を踏まえ、国際社会と協調して課税を強化していきます。
(社会民主党)社民党は、2011年当時およびその後の国際的な法人課税ルール(OECD主導BEPSや最低税率ルール)への取り組みを支持し、推進する立場です。社民党は、2011年以降の国際的な法人課税ルールへの合意を重要な前進と捉え、国内外での協調による実効ある制度導入を強く支持しています。その税収で国内の公平・再分配機能を再構築しようとするのが基本方針です。
(れいわ新撰組)デジタル課税(DST)は、多国籍企業による租税回避問題を解決する手段の一つだが、本来であれば国際合意や国際協力をの枠組みを深化させる事で、大金持ちや大企業の租税回避への実効性を持たせていく事が重要。
14 トランプ政権への対応について
今年発足した米国のトランプ政権は、これまでの国際合意に背を向けようとしています。とりわけ上記13の①のルールの一つである「軽課税所得ルール(UTPR)」を実施する国に対して、対抗措置をとるとの大統領令を発しています。どう対応すべきでしょうか。
① 米国からの要求があっても拒否する。
:社会民主党
② 米国が税に関する国際協力に背を向けるなら、日本が主導して、国際協力を進める。
:立憲民主党、日本共産党、れいわ新撰組
③ その他
:自由民主党、公明党、国民民主党
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)米国議会において、米国が「不公平な税制」を有すると考える外国の企業等に対する対抗措置を規定する条項について、議論がなされていました。米国時間 6 月 28日に公表された「G7 声明」では、同条項の削除を前提に、グローバル・ミニマム課税と米国の制度の共存に向けた制度設計にあたっての原則が示されております。同条項が削除されたうえで米国の法案が成立すれば、140 カ国以上が参加するG20/OECD「包摂的枠組み」において、具体的な解決策策定に向けた議論が行われる見通しであり、我が国としてもこれに積極的に参画することが重要と考えます。
(公明党)米国が「不公平な税制」を有すると考える外国の企業等に対する対抗措置を規定する条項、通称「899条」の導入を巡り、米国議会で議論がなされていました。米国時間6月28日に公表された「グローバル・ミニマム課税に関するG7声明」では、同条項の削除を前提に、グローバル・ミニマム課税と米国の制度の共存に向けた制度設計にあたっての原則が示されていますが、この声明は、今後の国際課税システムの安定性の向上につながるものと考えています。上院での修正案では同条項が削除されているところ、このまま法案が成立することが前提となりますが、我が国としては、米国も参加するG20/OECD「包摂的枠組み」における、具体的な解決策策定に向けた議論に積極的に参画していくべきと考えています。
(立憲民主党)経済のデジタル化に伴う課税上の課題に対する国際合意は、米国を含む約140カ国・地域が参加する枠組みであり、今回の米国の対応は大変遺憾です。法人税の最低税率の設定などは、各国が法人税率の引き下げを競う「底辺への競争」に歯止めをかける画期的な取り組みであり、国際課税の実効性が損なわれないよう、日本としても尽力すべきと考えます。
(国民民主党)まず交渉内容について最低限の情報公開と共有を求めます。その上で米国に対して与野党を超えて日本が One チームで交渉に臨み、両国にとってお互いの国益となる関税交渉としていくことが重要です。
(社会民主党)社民党は、トランプ大統領が米国企業を過度に保護すべく「軽課税所得ルール(UTPR)を導入した国に対して対抗措置を取る」という大統領令(2025 年 1月 20 日)に対して極めて懸念に思っています。OECD/G20 が 2021 年に各国で合意した、グローバル最低法人税率(Pillar 2)と UTPR を含む税制改革を多国間協調による公正な国際課税ルールとして重視10しています。これにより、国境を越えた課税抜け漏れを抑止し、税制の公平性を高める重要な枠組みであると位置付けています 。また、トランプ大統領の対抗措置は「保護主義的圧力」であり「UTPR を実施する国には関税や追加課税を視野に入れる」という内容で自由な国際課税ルールの履行を妨げかねない保護主義的措置です 。社民党はこうした動きを、「自由貿易を阻害し、国際協調を自国内の利益にゆがめる行為」として強く懸念しています。
(れいわ新撰組)日本を含む OECD 加盟国などの間で、最低税率を 15%以上とする国際ルール「グローバル・ミニマム課税」は法人税の引き下げ競争に歯止めをかける重要な国際合意です。この国際合意を実施する追加課税で報復するという米国の単独主義的な動きとは別に、この国際協力をさらに深化させるべき。
15 国連枠組条約について
国連では可決した総会決議に基づいて、租税の国際協力を進める「国連枠組条約」制定の動きが始まっています。これまで国際課税に関するルール作りはOECDを舞台にして取り組まれてきましたが、税のルールはすべての国が参加する国連の舞台で協議すべきという、途上国やグローバル・サウスの国々の声が強まったことを反映したものです。この動きにどう対応しますか。
① 日本政府も積極的にこの国際的な取り組みに参加すべき
:日本共産党、社会民主党、れいわ新撰組
② これまでの経過もあるので、OECDの舞台で取り組めばよい
③ その他
:自由民主党、公明党、立憲民主党、国民民主党
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)昨年 7 月に G20 で採択された「国際租税協力に関する G20 リオデジャネイロ閣僚宣言」において、国連における国際租税協力に関する交渉については、他の国際機関の既存の成果やプロセス等を基礎とすることや、広範なコンセンサスに達することとの重要性等に合意されたと承知しています。今後は、当該枠組条約交渉の議論がコンセンサスに達しうるかどうかについて注視していきます。
(公明党)国際課税に関する国連での新たな条約づくりの動きは、途上国やグローバル・サウスの国々が、自らの声を反映できる場を求めた重要な問題提起だと受け止めています。税のルールはすべての国に関係するものであり、より包摂的で開かれた議論の場が求められていることは理解できます。
一方で、日本を含む多くの国が参加してきたOECDでの国際課税ルールづくりも、実務的な進展と成果を上げてきた大切な枠組みです。すでに多国籍企業の税回避防止や最低税率の導入などが進んでおり、制度の安定性や実効性も重要な視点です。
公明党は、国連やOECDの動きを注視しつつ、制度の重複や分断が生じないように留意しながら、すべての国が参加できる公平な国際課税のルールづくりに取り組んでいくことが重要と考えています。
(立憲民主党)今後の国際課税を巡る状況を注視し、必要な対応を講じるべきと考えます。
(国民民主党)「自由で公正な貿易秩序」と経済安全保障の両立に向け、ルールベースの国際貿易秩序の再構築、有志国との信頼できるサプライチェーンの構築、グローバルサウスとの連携を強化します。多くが自国優先主義に傾きがちな今だからこそ、日本が新たな国際秩序構築に顕著なる貢献をしていきます。
(社会民主党)社民党は、「国際的な租税制度における協力を強化するための UN 枠組条約(国連国際租税協力枠組条約)」の制定と推進について明確に支持します。この枠組条約の目標は、多国間の協力によって課税権の公正な配分やタックスヘイブン・資金流出の防止を図ることであり、社民党が重視する国際課税の公平性・再分配強化、多国間協力による税制正義の実現と完全に一致します。特に開発途上国を含めた広範な参加と、OECD 中心ではなく UN の枠組みを通じた包摂的プロセスへの移行は、社民党が求める「国際的な協調」として歓迎される動きです。条約のリファレンス文書(ToR)採択では、税権配分・多国籍企業の公正課税・高資産層の脱税阻止といった課題が議論され、ILO や人権条項との整合性も図られる方向性が示されています。社民党が重視する社会保障や持続可能な開発の財源確保とも整合しており、強く賛同してます。そして、社民党は、国内における法人税累進強化や金融資産課税、富裕税導入など一連の再分配政策を掲げていますが、UN 条約はそれらを国際ルールとも連動させる機会ともなりあるものと考えています。
(れいわ新撰組)従来の OECD だけではなく、途上国やグローバル・サウスの国々の人々の声を取り入れていくことが、米国の世界覇権の変容、その後の現在の多極化社会における公正な国際秩序の形成にとって重要だと考えます。
16 「防衛費」倍増とその財源について
政府は、2022年末に、「防衛予算」を、GDP比2%以上へと倍増させる方針を決定し、2027年度までの5年間で、総額43兆円もの巨額の防衛予算を確保し、その裏付けとして、2023年度からの5年間で計3兆円強の「歳出改革」を進めるとし、2027年度以降は、毎年度4兆円の新たな追加的財源が必要になるため、4兆円うちの4分の3は「歳出改革」等によって、残りの4分の1を増税によって調達する方針を示しました。「防衛費」倍増政策及びその財源問題について、どう対応しますか。
① 「防衛費」倍増は白紙撤回すべき
:日本共産党、社会民主党、れいわ新撰
② 「防衛費」倍増政策は維持し、
ⅰ その財源は、増税によるべき
ⅱ その財源は、国債の増発によるべき
ⅲ その財源は、歳出削減によるべき
③ その他
:自由民主党、公明党、立憲民主党、国民民主党
その理由等(自由記載欄)
(自由民主党)戦後最も厳しく複雑な我が国の安全保障環境の中で、国民の命・暮らし・事業を守るため、国家安全保障戦略等に基づき、我が国自身の防衛力を抜本的に強化する必要があります。抜本的に強化される防衛力は、将来にわたって維持・強化していく必要があり、防衛力を安定的に支えるためには、行財政改革の努力を最大限行った上で、それでも足りない約4分の1について、今を生きる我々の将来世代への責任として税制措置での財源確保をお願いすることが必要であると考えています。
(公明党)わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、国民の命と平和な暮らしを守るために、外交努力とともに、防衛力を強化し抑止力を高めることも必要です。
予算については額ありきではなく、必要な防衛力を積み上げ、内容を精査すべきと主張し、5年間で総額43兆円が必要との結論に至りました。
財源確保について公明党は、まず国として様々な工夫をして捻出した上で、それでも不足する分について国民負担をお願いするのが筋であると主張し、毎年度4兆円の確保のうち、歳出の見直しや決算剰余金の活用等を通じて3兆円を確保し、どうしても不足する残り約1兆円を税制措置で対応することとしました。経済や国民生活への影響を十分に見極めながら進めてまいります。
(立憲民主党)現実的な対応で、安全保障環境や防衛技術の変化に応じて、防衛体制は着実に整備し、防衛費を増やす必要性は認識しています。防衛力の強化は進めますが、
急増した防衛予算は精査し、防衛増税は行いません。防衛費を5年で倍増という防衛費増には防衛戦略的な合理性がなく、積算根拠も示されていません。5年で43兆円の財源のため防衛増税することになっているのに、増税を先送りして、恒久財源も示されていません。また、防衛省・自衛隊では潜水艦をめぐる裏金接待問題や手当の不正受給な
ど、不正が長期にわたって行われてきたことが明らかになりました。防衛監察の対象を拡大し、不適切な契約や不正が行われていないかなどについて徹底調査し、予算についても無駄や過剰になっていないか再度点検すべきです。政府に積算根拠を明らかにし、予算を精査することを求めます。
(国民民主党)防衛費の増額に当たっては、単に NATO 基準(GDP 比 2 %)に求めるのではなく、真に実効的な防衛力を整備するために必要かつ効率的な事業の積み上げの結果として 必要な額とし、日本の国力国情に即したものにします。財政事情を踏まえ防衛費を一気に増額することや、目標の曖昧な増額は現実的ではなく、当面の整備目標や優先順位を 定めた上で 10 年程度の期限を切って漸次増額します。
(社会民主党)自民党は巨額の企業献金を受け、大企業や富裕層のための政治です。5兆円だった防衛予算は、今や8兆7000億円。2027年には10兆円以上になる予定です。
防衛予算だけうなぎ上り、教育、農業、医療・介護・福祉の予算が圧迫されています。教育、農業、医療・介護・福祉の予算は必要であり、増やしていくべきです。減らすべきは、膨大に膨れ上がっている防衛費です。6月25日、NATOが、防衛費GDP比5%で米国と合意しました。この翌日、米国の報道官は会見で、北大西洋条約機構(NATO)が加盟国の防衛費を国内総生産(GDP)比5%に引き上げる新目標を決めたことをめぐり、アジアの同盟国や友好国について「同様にできるはずだ」と述べ、防衛費増に向けた期待を示した。また、これに先立ち日米の関税交渉の中で、米国が日本に対して、防衛費GDP比3.5%を要求してきていたことが報道で明らかになりました。これは、とんでもないことです。故安倍首相が、第一次トランプ政権と防衛費GDP比2%で同意し、国会でその財源の根拠も示さずにその後の菅政権、岸田政権、そして石破政権と5年で、43兆円もの莫大な防衛予算の増額をし、社民党はこれに強く反対してきましたが、防衛費GDP比3.5%、5.0%などもってのほかです。防衛費の聖域化には断固反対です。
ちなみに、単純な試算ですが、仮にGDPが600兆円を前提として、防衛費を以下のGDP 比まで増額し、これが5ヵ年に及んだ場合の試算:
GDP 比 2% → 8兆7000億円/年 ・・・5ヵ年で43兆円(現在)
GDP 比 3.5% → 21兆円/年 ・・・5ヵ年で105兆円
GDP 比 5.0% → 30兆円/年 ・・・5ヵ年で150兆円
もし、そんなことになれば、間違いなく国の予算は破綻して日本は破滅してしまいます。防衛費の聖域化を止めその分の予算を削減し、教育、農業、医療・介護・福祉など、国民のくらし・生活などの優先的に予算を配分するべきと考えます。
(れいわ新撰組)れいわ新選組は積極財政を唱えているが、それは軍事ケインズ主義的な軍拡予算の拡大ではなく、教育関連の予算増、社会福祉などのケア産業の人手不足の解消や老朽化した国内インフラの補修、適切な地域主導の再エネの普及のために行うべきものと考えています。「安保文書」の閣議決定で露呈した経済分野を安全保障分野に従属させる経済安保の路線は少子高齢化社会の国内の問題の解決を遅らせることになるので見直す必要があります。)
17 その他
その他、税制と社会保障、それと関わる貧困・格差の問題について、貴党において、重要であると考えられている政策、国民の理解を得たい政策等ございましたら、ご自由にご記載ください。
(自由記載欄)
(自由民主党)社会保障については、少子高齢化、人口減少が今後急激に進んで行く中、世界に冠たる国民皆保険を守り、持続可能なものとし続けるため、改革に取り組んでい
く必要があります。社会保障制度を安定的なものとし、国民の安心につなげていくことは政治の責任だと考えています。
(立憲民主党)
【税制】消費税の負担軽減策について、私たちとしては、国民が負担する消費税の一部
を所得の多寡に応じた給付等の形で実質的に還付する「給付付き税額控除」の導入により対応するのが理想的であると考えています。石破総理も党首討論において「給付付き税額控除」を「1つの解」であると述べておられます。私たちは、現在、党内にプロジェクトチームを設置して、「給付付き税額控除」の制度等について具体化を進めていますが、これを実現することにより、特に中低所得者層の消費税負担を恒久的に軽減できるようにしたいと考えています。
【賃金、社会保障】中小企業支援を前提に最低賃金を全国で早期に1,500円以上に引き上げることや、同一価値労働同一賃金の実現、希望すればみんな正社員になれる社会を目指して労働法制や環境を整備すること等により、賃金格差を是正します。将来、現役世代と若者が貧困に陥ることを防ぐため、現役世代と若者の年金(厚生年金・国民年金)の底上げを実現します。また、低所得の年金生活者に対しては、年金生活者支援給付金を手厚くします。さらに年金制度とは別に、低所得の高齢者に一定額を年金に上乗せして給付する制度を設けます。
(国民民主党)消費税・所得税・住民税減税や現役世代の社会保険料軽減、物価高騰対策としての電気代・ガソリン代等値下げにより、「手取り増やす夏」にします!
(日本共産党)消費税減税の財源は借金に頼らず、大企業、富裕層優遇を改める税制改革等によって確保する。あわせて、大軍拡計画の中止など歳出面での改革もあわせて社会保障予算などの拡充をすすめ格差を是正する。
(社会民主党)・食料品消費税ゼロを即時実現します 。
コメの価格が前年比で約2倍も高騰するなど、食料品の値上げが止まりません。総務省「家計調査」によれば、2024年の1世帯あたりの食費は月約85000円。家計の消費支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数は28.3%とOECD諸国でも最高レベル、低所得世帯ほど食費の負担がさらに重くなっています。食料品の高騰が個人消費を押し下げています。物価高からくらしを守るため、食料品消費税ゼロを即時実現します。必要な財源は約5兆円、防衛費の引き下げや、法人税・所得税の累進性の強化で十分賄えます。
・トランプ関税で日本の雇用に深刻な影響が出た場合は、3年間消費税ゼロを断行し内需拡大を図ります。使い途のない大企業の内部留保に課税し消費税減税の財源や、中小企業の賃上げ支援の原資にします。中小零細事業者・個人事業者に重い負担になるインボイス制度は中止します。
・最低賃金1500円、社会保険料半減、労使1:3に。
物価高で困窮している生活を底支えするために、最低賃金全国一律1500円の早期実現と社会保険料の労使負担割合を1:3にし、手元に残る賃金を増やします!中小零細企業の負担増加分は国の公費助成で補填します。
・非正規社会からの脱却を!首切り反対!雇用は正規雇用が原則です。公務職場も含めて非正規労働拡大に歯止めをかけ、正規労働への転換を強力に進めます。社会を支えるケア労働者(介護職員、保育士など)の賃上げ、待遇改善をします。政府は首切り放題の「解雇規制」の緩和を目論んでいます。社民党は、大企業優先の労働法制改悪に反対し、働くひとたちの生活と権利を断固として守り、拡充します。
・若者・現役世代が希望を抱ける社会に。「出生数68万人」、「国民負担率46.2%」、「実質賃金マイナス1.8%」・・・若者、現役世代を取り巻く社会情勢は深刻で、将来への絶望感が広まっています。今こそ、国や地方自治体などの公的支援を拡充すべきです。
・大学までの高等教育の教育費無償化を実現します。無償化実現までは、奨学金を原則給付型として、一定期間の返済後は残債を免除する制度導入をめざします。また、インクルーシブ教育を推進し、国籍や経済状況、障がいなどを問わずすべての子どもが学べる権利を確立します。
・安心して出産・子育てできる社会にするために、出産の保険適用や子ども医療費の無償化、保育料全面無償化、年少扶養控除を復活します。性別関係なく子育てと仕事ができる社会へ改善していきます。
・最低保障年金月10万円実現!介護・医療費負担軽減で安心な老後を保障します。
今年は5年に1度の年金改定の年です。基礎年金は満額でも月7万円に満たず、生活保護における生活扶助基準を下回っています。特に就職氷河期世代など非正規雇用で厚生年金に加入できず国民年金に未納や免除がある人は、満額の基礎年金を受け取れず、低年金・無年金になっています。実際、基礎年金受給者の平均月額は57,700円しかなく、60歳以上の約3割が生活保護を受給しています。基礎年金が老後の生存権を保障する機能を全く果たせていない現状を、速やかに是正しなければなりません。社民党は、月10万円の最低保障年金を全ての高齢者に給付する制度の設計を急ぎます。
・介護保険の立て直しを。
訪問介護の基本報酬引き下げは、介護事業所とりわけ小規模訪問介護事業所の経営に大打撃を与えました。2024年度の介護事業所の倒産は過去最多を記録し、そのうち半数は訪問介護事業所でした。また、介護報酬の低さは介護従事者の低賃金の原因となり、介護現場は慢性的な人手不足です。社民党は、臨時の報酬改定で介護報酬を引き上げ、介護従事者の賃上げや処遇改善を図り持続可能な介護保険制度を再構築し、介護サービスの質を維持します。
・医療と住宅の充実で老後の安心を。
医療費の窓口負担軽減の実現、国公立病院の閉鎖などに反対します。医療機関によって負担が大きく、いまだトラブルも絶えないマイナ保険証の取得強制に反対し、現行の健康保険証を継続させます。患者の負担増や受診控えにつな
がる高額療養費制度の自己負担限度額の引き上げに反対します。
居住は権利です。高齢者や低所得者、障がい者、子育て世帯など住宅の確保が難しい人々に対して安心して住まいを確保できるよう支援する住宅セーフティネットを強化するとともに、空き家の利活用など公営住宅の増設・整備をします。
ご協力ありがとうございました。