OECDのパスカル・サンタマン租税局長との意見交換

パナマ文書の公開によって、一部の多国籍企業や富裕層によるタックスヘイブンを利用した租税回避の問題が注目を浴びています。

近年の急速なグローバル化のもと、多国籍企業の活動の実態と各国の税制や国際課税ルールとの間にずれが生じてきており、多くの多国籍企業がそれを利用し、課税所得を人為的に操作し、課税を逃れています。このことは「税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)」として、国際課税の重要な課題として浮かび上がっています。

この問題に対処するために、先進国首脳会議(G20サミット)の要請にもとづいて、OECDが2012年にBEPSプロジェクトを立ち上げました。現在15項目の「BEPS行動計画」に沿って国際社会及び各国政府による取り組みが進んでいます。

OECDのパスカル・サンタマン局長は、現在約100か国が参加する同プロジェクトの責任者として世界を回っています。今年1月発足したタックス・ジャスティス・ネットワークジャパン(TJNJ:「公正な税制を求める市民連絡会」、「グローバル連帯税フォーラム」、および「民間税制調査会」の三団体で構成)の代表は、本年1月11日、来日中の同局長と約一時間にわたる意見交換の機会を持ちました。

会談の中で、同局長は、①BEPSプロジェクトは今年、来年が正念場であり、各国国内法への反映が重要であること、②日本の来年度税制改正に含まれているタックスヘイブン対策税制は重要な論点であること、③日本の企業は欧米の企業ほどアグレッシブな税逃れをしておらず、BEPSプロジェクトでは日本が範を示すことが重要であること、④市民社会が政府に対してプレッシャーをかけ続けることが必要なこと、などを指摘しました。

最後に同局長から、今年10月に来日する予定があり、その際にOECDと市民社会との対話集会を持ちたいとの提案をいただきました。

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